生きていくためには、たんぱく質が必要
という考えは浸透しつつあるものの
「とにかくたくさん摂ればいい」——そう考えている人は、意外と多いのでは?
同じ量のたんぱく質でも、「どれだけ消化・吸収され、カラダづくりに使われるか」には大きな差があります。
そこで参考にしたい、たんぱく質の「質」を測る指標DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)をご存知ですか?
「同じ“たんぱく質”でも、どれだけカラダに使われるかが違う。魚を正しく選べる人は、結果を出す人」by トータル・ワークアウト代表 池澤智
魚をチョイスして、もっと強い自分を手に入れるために、知っておくべき正しい知識をお伝えします。
たんぱく質の「質」を測るDIAASとは
筋肉、肌、ホルモン、免疫細胞——すべての基礎をつくるのが「たんぱく質」
そして重要なのは量だけではなく“質”。
その“質”を科学的に測る最新の国際基準がDIAAS(ディエス)
消化性必須アミノ酸スコアです。
DIAASは、食材中の必須アミノ酸がどれだけ消化吸収され、実際に体で利用されるかを示す指標で、旧来の「アミノ酸スコア(FAO/WHO 1985)」が必須アミノ酸の含有バランスのみを表していたのに対し、DIAAS(FAO 2013)は小腸レベルの “真の消化性”を測定しており、より実際の生理作用に近い評価ができるうえ、アミノ酸スコアのように上限(100)がないためより正確な評価が可能になります。

魚たんぱくのDIAASは“トップクラス”
FAO(国連食糧農業機関)の報告および各国の栄養学研究によると、食品別のDIAASは以下の通り。
| 食品名 | DIAAS(%) | アミノ酸スコア(%) |
| 魚 | 70-120 | 100 |
| 卵 | 113 | 100 |
| ホエイプロテイン | 109 | 100 |
| 鶏肉 | 108 | 100 |
| 豆腐 | 52 | 100 |
※牛乳や乳製品、牛肉もDIAAS数値が高いですが、脂質の多さや慢性炎症を引き起こしやすい傾向にあるなどカラダづくりにはあまり向いていないためリストから除外しています。
魚には、筋肉合成を促すロイシン、疲労回復に寄与するメチオニン・バリン、抗炎症性のEPA・DHAも含むため、トレーニングや日常パフォーマンスのサポートに最適。
しかも、魚はタンパク質の分解が早く、消化・吸収に優れているため、軽やかに食べられるのに、体の中ではしっかり働いてくれるのです。

魚に含まれる良質な脂質:EPA・DHAの効能
魚のもう一つの強みである、良質なオイルEPAとDHAについてもう少し掘り下げてみましょう。
特に青魚に多いEPA・DHAは、単なるエネルギー源ではなく、からだの“強さ”と“しなやかさ”を支える重要な栄養素。
- EPA(エイコサペンタエン酸)→ 炎症抑制、血液サラサラ効果、回復力アップ
- DHA(ドコサヘキサエン酸)→ 脳・神経機能の維持、集中力・記憶力サポート、心血管保護
魚の高DIAASたんぱくとEPA・DHAをセットで摂ることで、筋肉の回復・代謝効率・脳・心血管系の健康が同時にサポートされます。
たんぱく質だけでなく、脂質まで“質が高い”ことが、カラダづくりのプロであるパーソナル・トレーナーが魚を推奨する理由なのです。
腸が喜ぶ魚の摂り方
魚たんぱくのように、いかに優れた食材でも、腸で吸収されなければカラダに活かすことができません。腸内環境を整えることは、栄養効率と回復力を高めるために不可欠なのです。
腸内環境(腸内細菌)ケアの3ヶ条
❶菌を入れる:発酵食品で腸に良い菌を補給
❷菌を育てる:魚と一緒に食物繊維や彩り野菜を摂取し善玉菌のエサを投入
❸菌の邪魔をしない:添加物や揚げ物を避け、腸に優しい調理法を選ぶ
実践例
朝:味噌汁+鯖缶 納豆をプラスするのもgood
昼:ミネラルたっぷり玄米の海鮮丼
夜:西京焼きや煮魚、もしくは刺身定食を
毎日3食を魚にする必要はありませんが「1日1食は魚」「週に●回は魚料理を」といった具合に、腸がよろこぶ食事と魚を組み合わせることで、魚の高DIAASたんぱくを腸で効率よく吸収しつつ、腸内フローラも活性化できるでしょう。

魚を食べることは、強さの“再構築”
筋肉を増やすだけでなく、回復力・集中力・代謝・免疫力・脳機能まで整えるのが魚の力。
腸内環境を整えつつ、EPA・DHAなどの良質な脂質を同時に摂ることで、カラダが本当に使える栄養を最大化できるのです。
- 回復力:運動後の筋損傷修復をサポート
- 代謝力:ロイシンやメチオニンによるタンパク質合成の促進
- 免疫・抗炎症性:EPA・DHAによる炎症抑制
- 集中力・思考力:神経細胞膜の柔軟性維持による脳機能サポート
体の強さは、日々の“選択”の積み重ね。
DIAASという科学、腸の健康、良質な脂質の力を理解し、正しい選択をすることが、現代の“強さ”と“しなやかさ”を両立する新しい定義といっても過言ではありません。

健康のために積極的に取り入れたい栄養素を含む魚ですが、調理の手間や日持ちの問題から日常の食卓に取り入れづらい人が多いことも事実。
カラダに向き合うためにトータル・ワークアウトにおとずれた日は、良質なタンパク質と、回復力に働きかける栄養素をあますところなく摂り入れてほしい!そんな想いから、トータル・ワークアウトに併設するカフェでは質の高いたんぱく質メニューを取り揃え、フィッシュメニューも大幅拡充中です。
週2回のトレーニングDayはフィッシュDay
そんなフィッシュ習慣を意識してみませんか?

「サーモンのど旨い漬け丼」
(552.0 kcal / P: 23.3g サーモンWで772.0 kcal / P: 38.5g)
ノルウェー産の生アトランティックサーモンを、燻製醤油とブラックペッパーの特製漬け汁で作り上げた逸品。サーモンに含まれるアスタキサンチンは抗酸化や美肌効果など様々な効果が期待できる注目の栄養素
トータル・ワークアウトで食べられるフィッシュメニューと、自宅にストックしておくと便利な冷凍デリについては、以下の記事をご参照ください。
- FAO. (2013). Dietary protein quality evaluation in human nutrition.
- Rutherfurd, S. M., et al. (2015). Protein digestibility-corrected amino acid scores and digestible indispensable amino acid scores for various foods. British Journal of Nutrition.
- Moughan, P. J., et al. (2018). Food-derived bioavailable amino acids: Impact on human health and muscle protein synthesis. Nutrients.
- Adhikari S, et al., Nutrients. 2022; 14(5):947.
- Burd NA, et al., Sports Med. 2019; 49(Suppl 1):59-68.
- Kendler S, et al., Front Nutr. 2023; 10:1118094.
- 山口., 栄養学雑誌. 1987; 45(2): 85-90.
- 魚肉タンパク研究所