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筋トレに炭水化物は必要?いらない?摂取量の目安や食事のおすすめタイミングを解説します

筋トレやダイエットをするならば、とりあえず糖質制限!2010年代より知られるようになった糖質制限ですが、筋トレに糖質はいるのか?いらないのか?糖質制限をする場合の摂取量の目安や、タイミング、糖質の選び方について、カラダづくりのプロであるパーソナル・トレーナーの経験をもとに解説します。

最後まで読んで、筋トレ効果を高めるための最適な糖質の摂り方を理解してみてください。

炭水化物の必要性と筋トレとの関係性

糖質とは炭水化物の一部で、カラダを動かすための重要なエネルギー源としての大切な役割をもっています。

炭水化物はタンパク質や脂質とともに3大栄養素を構成しているため、健康なカラダを維持するには欠かせない栄養素。筋トレをしている場合でも、一定量の摂取が望まれます。

筋トレに不可欠なエネルギー源としての役割

糖質は消化・分解されてカラダのエネルギー源となります。

筋トレの観点からみると、糖質はカラダで主に「グリコーゲン」として働き、その一部は筋肉内に「筋グリコーゲン」として蓄えられます。筋グリコーゲンは、筋肉が収縮するときの主なエネルギー源。なので、筋トレを行う際にはエネルギー供給源として必要不可欠なのです。

マラソンやサッカーなど持久力が重要なアスリートは、試合の数日前から糖質を摂取して、筋グリコーゲンを蓄えてから試合に臨みます。

筋肉を大きくするから

また筋肉を大きく見せるためにも、筋グリコーゲンを蓄えるのが重要です。筋グリコーゲンは水分と結合して筋肉内に蓄えられるため、その分筋肉が大きく見えます。実際に研究では、糖質を摂取することで、筋断面積が大きくなりました。*1

そのため、ボディビルダーも大会直前までは低糖質の食事で極限まで脂肪を落とし、大会直前に糖質をたくさん摂って筋肉を大きくします(カーボアップといいます)。

一方で筋肉量が少ない人がダイエットする場合は一定の糖質制限が重要になります。特に日本人の食生活では糖質を摂りすぎなので、注意が必要。なぜ糖質を摂りすぎると太るのでしょうか?

糖質が足りないとどうなる?

炭水化物抜きのダイエットをする人が注意したい、糖質制限のしすぎがもたらすデメリットをお伝えします。

エネルギー不足で筋肉が分解される

血糖値が高まりすぎると脂肪が増えてしまい、逆に、糖質を減らしすぎたり、食事間隔が空きすぎて血糖値が低下しすぎると、カラダがエネルギー不足になり、筋タンパク質を分解して、グルコースを産生します。これを「糖新生」といいます。

せっかく筋トレをしても、糖新生がおこると筋肉が減ってしまい効率が下がってしまいます。ダイエット目的で筋トレする人にとっても、筋肉の少ない代謝の低いカラダは非効率なうえリバウンドのリスクが大きいもの。

糖質を完全にカットするのではなく、良質な糖質を小まめに摂取して血糖値を維持することが重要です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

筋肉の合成が活発にならない

筋肉は合成と分解を繰り返しています。筋トレ後は当然、合成を促進して筋トレ効果をアップしたいものですが、筋肉のエネルギー源である糖質が不足すると、血中アミノ酸濃度が低くなり、筋肉の分解が活発になってしまいます。

筋トレ前に適切に糖質を摂取すること、そして、足りないエネルギーを、タンパク質を多めに摂って合成を促進することで、バランスを保つ必要があります。

プロテインドリンクやBCAAといったサプリメントも有効活用し合成を促しましょう。

糖質を摂りすぎると太る理由

カラダの脂肪を落としたいのであれば、糖質よりも脂質を制限すべきでは?と思いますが、糖質制限が優先されるのはなぜでしょう?簡単に振り返ってみましょう。

糖質と脂質の関係性

g(グラム)あたりのカロリーは糖質が4kcalに対し、脂質は9kcalもあります。

これだけを見ると脂質の方が太りそうに見えますが、糖質はエネルギーのメインタンク、脂質はサブタンクという関係性にあります。

糖質は筋肉内に蓄えられる筋グリコーゲンだけでなく、肝臓にも蓄えられます。この肝グリコーゲン(カラダのメインタンク)が十分にあると、カラダはエネルギーが十分にあると感じ、カラダのサブタンクである脂肪を分解しようとしません。脂肪を分解してエネルギーを作る必要がないからです。この状態で糖質や脂質を摂ると、エネルギーにされずサブタンクの脂肪としてさらに蓄えられてしまいます。

炭水化物抜きのメカニズム

一方で肝グリコーゲンが枯渇しているとカラダはエネルギーが不足していると感じ、サブタンクの脂肪を分解し始めます。

だから、メインタンクである肝グリコーゲンを枯渇させるために糖質を制限し、サブタンクである脂肪をエネルギーとして働かせる、というメカニズムによって脂肪が落とせるのです。

2011年に行われた研究では、81人の肥満女性を低炭水化物の食事を摂るグループと、低脂肪の食事を摂るグループの2つに分けて減量食の効果を比較したところ、低炭水化物のグループの方が体重も体脂肪も倍近く減りました。*2

このような研究の結果からも、脂質制限よりも糖質制限ダイエットがおすすめといえます。

筋トレに効果的な糖質の摂取タイミング

摂取タイミングによって、糖質がエネルギーになりやすいのか、脂肪になりやすいのかが変わります。

では、筋トレをする場合はいつ炭水化物を摂取すればよいのでしょうか?

◆筋トレ前

脂肪を増やさないためには、筋トレ直前や筋トレ中の糖質摂取が重要です。筋トレ前に摂取された糖質は、筋肉を収縮させるエネルギーになったり、運動で枯渇した筋グリコーゲンを補ってくれます。そのため脂肪にはなりにくいのです。

筋トレ直前や筋トレ中に糖質を摂取する場合は胃に負担のかからないものをチョイスしましょう。

逆に空腹で、エネルギーが枯渇した状態で筋トレを始めてしまうと、必要な強度までカラダを追い込むことができない、いまある筋肉を分解してエネルギーを作り出してしまう、といったデメリットがあるので、食事を摂る時間がない場合でも、プロテインドリンクなどで適切な糖質を摂るようにしましょう。

◆筋トレ中

筋トレ中の糖質補給は集中力を維持するためにも重要です。筋トレ中に糖質が不足すると、エネルギー不足になり集中力が低下します。追い込みきれなくなったり、能力を十分に発揮できなかったりなど、トレーニングの質が低下します。

◆筋トレ後

筋トレ後30分~1時間以内のタンパク質摂取はもはや常識。

筋肥大が目的の人は、筋トレ後にタンパク質に加え適度な炭水化物を摂ることでエネルギーが枯渇した筋肉に効率的にタンパク質と糖がおくりこまれます。

とはいえ、トレーニング後なら甘いものやビールを飲んでもOKというわけではありません。血糖値の上がりにくい、質の良い糖質を少量摂れば十分。

手軽にタンパク質と炭水化物を摂取したい場合はフルーツ飲料で割ったプロテインドリンクがおすすめです。

筋トレで意識すべき糖質の選び方

炭水化物の種類別の糖質含有量と、選び方の基準をお伝えします。

主要な食品の糖質含有量目安

文部科学省の食品成分データベースを参照し、一般的な食材の糖質含有量を紹介します。*3

可食部100gあたりの糖質量1食分の糖質量(おおよそ)
ご飯(精白米)37.1g茶わん1杯150g→55.7g
ご飯(玄米)35.6g茶わん1杯150g→53.4g
食パン46.4g6枚切り2枚→55.7g
全粒粉パン45.5g6枚切り2枚→54.6g
中華めん(ゆで)29.2g1玉(ゆで)200g→58.4g
うどん(ゆで)21.6g1玉(ゆで)200g→43.2g
そば(ゆで)26g1束(ゆで)250g→65g

糖質の選び方

ダイエットには白米より玄米、と言われるにもかかわらず、上記の表をみると糖質量におもったよりも差がないと思ったのではないでしょうか?

同じ糖質量の食品でも、血糖値の上昇速度に違いがあります。

玄米は

  • ビタミンやミネラルが豊富
  • 食物繊維も豊富
  • よく噛んで食べる必要がある

といった理由から

  • 血糖値の上昇がおだやかで脂肪として蓄えられにくい
  • ビタミンB群が筋トレのタンパク質合成を後押しする
  • ミネラルが疲労回復を促す

といった利点を持ち合わせています。

同等の糖質量だとしても、血糖値コントロールや、筋トレ効率を良くする栄養素が含まれている玄米や全粒粉のほうが、筋トレやダイエットの為に効率的なのです。

可食部100gあたりの食物繊維ビタミンB1マグネシウム
ご飯(精白米)0.5g0.02g7.0g
ご飯(玄米)3.0g0.16g49.0g

1日の摂取量の目安

体重60kgの成人を例に、タンパク質・脂質・糖質の摂取バランスとカロリーの目安を紹介します。

筋トレをする方の糖質摂取量目安

健康維持の糖質制限(ゆるめ)

緩めの糖質制限の場合は、総摂取カロリーのうち30%の糖質摂取が目標です。筋トレ中は、体重1kgあたり1日1.5g〜2.5gのタンパク質が求められるため、摂取するタンパク質量を決めてから糖質と脂質の量を考えましょう

  • タンパク質120g:480kcal
  • 糖質110g:440kcal(30%)
  • 脂質60g:540kcal(37%)

合計1460kcal

短期でカラダを変えるの糖質制限(きつめ)

きつめの糖質制限でカラダをしっかり絞る場合は、総摂取カロリーのうち10%以下の糖質摂取を目指します。主食はほとんど食べずに、野菜や調味料などに含まれている糖質だけを摂る形です。糖質を減らす分、不足するカロリーは脂質から摂ります。

  • タンパク質120g:480kcal
  • 糖質30g:120kcal(8%)
  • 脂質95g:855kcal(58%)

合計1455kcal
この、きつめの糖質制限はケトジェニックと呼ばれ、脂質から産生されるケトン体を主なエネルギー源にします。これは、ある程度の筋肉量がないと、体内で脂質を分解することができないので、初級者や、女性には難しいかもしてません。また、ケトジェニックを長期間続けるのは甲状腺への悪影響が指摘されているため、3週間〜最長でも2ヵ月と短期間に絞り、プロの指導のもとで行いましょう。

有酸素運動をする人の糖質摂取目安

健康維持の糖質制限、(ゆるめ)緩めの糖質制限同様総摂取カロリーのうち30%の糖質摂取を日常の目安にしつつ、長時間のパフォーマンスを発揮すべき日の3日ほど前から総摂取カロリーのうち70%の糖質摂取まで高め、体内に十分なエネルギー源(グリコーゲン)を蓄えます。

筋トレをしない方の糖質摂取量目安

筋トレを行わない、一般的な運動レベルの人が摂取すべき糖質の量を解説します。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、糖質の摂取量は総摂取カロリーのうち50〜65%が目標です。*4

「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、平均的な日本人の食事(20〜59歳)では1日あたりおよそ1900kcalを摂取しているので、糖質はおよそ240g(960kcal)摂取しています。*5

1900kcalのうち糖質から960kcalを摂取しているため、総摂取カロリーのうちおよそ51%が糖質です。目標量の範囲内であり、健康的な生活をするために糖質を極端に減らす必要はないと考えられます。ただし、糖質の「質」には気を付ける必要があります。

しかし、ダイエットのために筋トレをしている人は摂取量が変わります。

【まとめ】適切な糖質制限で、筋肥大もダイエットも成功させよう

糖質の必要性について理解いただけたかと思いますが、やはり、摂りすぎると肥満の原因になります。特に日本人は糖質の多い食生活になりがちなので、注意しましょう。

一般的な糖質の摂取量は総摂取カロリーのうち50%ほどですが、糖質制限ダイエットでは、総摂取カロリーの30%ほどに抑えましょう。肝グリコーゲンを減らすことで、脂肪が燃えやすくなります。

また、筋トレ直前から筋トレ中は、糖質が運動のためのエネルギーとして使われるため脂肪になりにくいです。そのため、カラダを大きくしたい場合は特に、筋トレ中はエネルギーとして質の良い糖質を補いましょう。

しかし主食やお菓子などは、誘惑が強いもの。特に糖質制限を始めて3日目あたりに甘いものを強く欲したり、エネルギー不足を感じることが多いようです。。自分で管理が難しい場合は、パーソナル・トレーニングでプロのトレーナーのサポートを受ける方が良いといえます。

適切に糖質摂取をすることで、筋トレの効果をぜひ最大限高めてください。

  • 炭水化物のすべて ー 山本義徳業績集1
  • 脂肪酸とケトン体 ~糖質制限ダイエットの科学 ー 山本義徳業績集4
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