年齢を重ねるにつれて「下腹部のふくらみが気になる」という声をよく耳にします。
痩せていても下腹部だけがぽっこりと目立つ人が多いのです。
腹筋を頑張っても下腹がスッキリしない人は、筋トレ以外にもやるべきことがある!?
下腹部が出やすいのはなぜ?
原因と、対処法をパーソナル・トレーナーに聞いてみました。
なぜお腹がぽっこりするの?その原因とは?
第一の原因は断然、筋力不足です
腹部まわりの筋肉が少ないとお腹をしっかり支えることができません。
骨盤を支える筋肉が衰えてしまうことで、骨盤が正しい位置に保てず、骨盤が後ろに傾いた「骨盤後傾」になってしまい、お腹が前方に出た姿勢になるのです。
それが痩せていたとしても下腹だけが出る理由と考えられます。
筋肉は27歳以降徐々に減っていきます。運動はもとより、筋肉を保つための栄養素である「タンパク質」を積極的に摂る必要があるのです。
筋力不足との関連がある骨盤のゆがみ
筋力不足で骨盤を正しい位置に保つことができないと、姿勢の悪さから下腹部が出て見えるほか、骨盤内にきちんと内臓が収まらず内臓下垂の原因になります。それがお腹ぽっこりの原因に。
女性の場合は産後の骨盤のゆるみや、骨盤底筋の筋力低下も下腹部が出る要因です。
体重増加が原因となるのは当然
そもそも体脂肪率が高くなればお腹は出るもの。
年齢を重ねるとホルモンバランスや代謝低下で脂肪がつきやすくなるので、運動や食生活で体重増加に歯止めをかけるのは必要不可欠なのです。
冷えやむくみめぐりの悪さが原因に
冷えにより血流が悪いと体は浮腫みやすいうえに、脂肪を溜め込むことになります。
筋トレで血流を良くし、正しい水分摂取でカラダに栄養を行き渡らせ、不必要なものを排出する、という体内の正しいリズムをつくることで改善されるはず。
入浴や、体を温める食材も上手に活用するのも冷え改善に繋がります。
めぐるカラダづくりには水分も必須。お腹が出るから水は飲まない・・・という考えは絶対NGです。
腸内環境のトラブルも要注意
便秘により排出がうまくいかず、物理的にお腹が出ている人も多いのです。
腸内環境を整え、便秘や腸のむくみを改善することも大切です。
下腹部の引き締めのために鍛えるべき筋肉
腹筋、体幹の筋肉をおさらいしてみましょう
腹筋
- 腹直筋
- 腹斜筋(内・外)
- 腹横筋
体幹の筋肉
- 横隔膜
- 腹横筋
- 多裂筋
- 骨盤底筋
中でも下腹部を引き締めるために鍛えるべきお腹まわりの筋肉は
腹直筋下部と腹横筋
内臓を支える骨盤底筋
ですが、実は腹筋よりもっと大きな筋肉を鍛えることが大切なのです。
お腹ぽっこり改善のために鍛えるべき筋肉、それは太ももまわりの筋肉・お尻の筋肉
腹筋は全身にある大きな筋肉ビッグ4には入っていません。
ビッグ4とは大腿筋・殿筋・背筋・胸筋です。
これらの4つ、特に下腹部痩せを目指す人は骨盤を支えるベースである太もも周りの筋肉、お尻の筋肉を鍛えることで
- 大きな筋肉増強による全身の代謝UP
- 骨盤周りの安定
といった効果が得られるのです。その結果、腹筋を鍛える以上に脂肪が燃え、下腹部の脂肪を減少させることになります。
大きな筋肉のトレーニングをメインにし、下腹部の筋トレを掛け合わせるのがベストです。
下腹部に効果のある簡単な筋トレ6選
日常生活に取り入れやすい筋トレを紹介します。
いずれの筋トレも、呼吸を止めずに行うことを心がけてください。
初心者は寝たままできるクランチ (難易度:★☆☆☆☆)
クランチは、腹直筋を鍛える基本的なメニューです。 初心者はクランチから始めましょう。
- 仰向けに寝て膝を曲げる。
- 腕は胸の前で組む。(負荷を上げたい人は頭の後ろで組む)
- へそをのぞきこむように、ゆっくり背中を丸める。(腰は浮かせない)
- ゆっくり戻し、頭が床につく前に3へ。
- 10回ほど繰り返す。
腹直筋下部に効果的なレッグレイズ(難易度:★★★☆☆)
腹直筋や腸腰筋を鍛えることができるレッグレイズ。姿勢の改善にも効果的です。
- 仰向けに寝て膝を伸ばす。手は腰の横に置く。
- 足を少し浮かせる。
- 膝を伸ばしたまま腰が90度になるまで上げる。
- 足をゆっくり戻して、床につく前に3へ。
- 10回ほど行う。
クランチがキツイ人はニーレイズ(難易度:★☆☆☆☆)
ニーレイズはリバースクランチとほぼ同じ種目。ニーレイズの方が膝を曲げるため、負荷が軽くなります。
- 仰向けに寝て膝を曲げる。手は腰の横に置く。
- 両膝を曲げたまま足を少し浮かせる。
- 膝を胸に引き寄せて、腰を少し浮かせる。
- 足をゆっくり戻して、元の位置に戻ったら3へ。
- 10回ほど行う。
体幹にはプランク(難易度:★★☆☆☆)
- 両肘を床につけ、うつ伏せになる
- 腰を浮かせ、背筋をまっすぐに伸ばす。頭~背中~腰~かかとが一直線になるようキープ。
- 20秒キープx3セット程度トライ。
※ヨガマットなどを敷かないと肘が痛くなるので注意
プランクの難易度をアップ!サイドプランクに挑戦(難易度:★★★☆☆☆)
- 横になって、肩の下で肘を床につき、前腕と手も床に付ける。
- 腰を浮かせて、頭からかかとまで真っすぐ伸ばす。(足と肘〜手だけが床につく)
- お腹を引き締めたまま2〜30秒キープする。
通常のプランクで、対角線上の手足を浮かせる、浮かせたうえで伸び縮みさせる、という動きを加えることで難易度(負荷)をUPできます。 腹筋の種目については以下の記事も参考にして下さい。
股関節、骨盤をささえる大きな筋肉を鍛えるスクワット(難易度:★★☆☆☆)
- 足を肩幅よりも少し広めに開き、つま先は自然に外側に向けてまっすぐ立つ。腕は胸の前で軽くクロスする。
- お尻を後ろに引きながら、ゆっくり深くしゃがんでいく。目線はまっすぐ前を向く。
- なるべく深くしゃがんで1秒キープ。
- 膝を伸ばしきらない程度にゆっくり立ち上がる。
骨盤を正しく支えるために必要な大腿四頭筋や大殿筋のトレーニングについては 以下の記事も参考にしてみてください。
骨盤のゆがみを正す4つのエクササイズ
筋トレを頑張れば下腹がへこむとは限りません。骨盤を正すことが効果的に下腹部へアプローチする近道です。
簡単にできる骨盤の動かし方
骨盤を前傾・後傾にする動きを繰り返します。
- 肩の真下に手を置き、腰の真下に膝をつき、四つん這いになります。
- 鼻から4拍で息を吸いながら、顎を上げ、顔をそらせ尾骶骨を引き上げるイメージを作ります。
- 四つん這いの姿勢のまま鼻から4拍で息を吐き、骨盤を上に巻き上げ、尾骶骨を下げるイメージを作ります。
- 息を吸いながら骨盤前傾、吐きながら骨盤後傾を交互に10回繰り返します。
椅子に座っている時でも正しい骨盤の位置を意識
椅子に座る際、正しい姿勢をキープします。
腰骨と恥骨を結んだ3角形の面が椅子の座面に垂直に立つように座ります。
このイメージで常に座るようにし、自力でキープできるように。
難しい場合はサポートクッションなどを活用します。
さらに上級テクニックはお尻の左右の肉を内側に収めるイメージで寄せてキープ。
その姿勢のまま、肛門(女性の場合は膣の奥)をギュッと締めては緩める、を繰り返すと骨盤を整えるだけでなく、骨盤底筋も強化できます。
太ももの裏、お尻を柔らかく動かせるようにすることも必要
- 膝を曲げても良いので、まっすぐに座り脚を前に出します。胸を張り、手で足を上から掴み、手の指と足を押し合います。呼吸は4拍で吸って4拍で吐くことを意識しながら10回程度、繰り返します。
- 片足を軽く立てて、もう一方の片足を曲げ、軽く立てた脚の上に乗せます。姿勢よく骨盤を立てて4拍吸って4拍吐くのを10回程度、繰り返します。左右ともに行います。
腹式呼吸で骨盤も自律神経も整える
- 骨盤を立てた正しい姿勢であぐらをかく(あおむけに寝た状態でもOK)
- 鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、
- 鼻から息を吐いてお腹をへこませる を繰り替えす。
★朝、すっきりとしたい時。アクティブになりたい時→4拍で吸い、4拍で吐く。
1杯の水を飲んでから行うことで、腸のストレッチにもなる。
★夜寝る前や、気分を落ち着かせたい時→4拍で吸い、8拍でゆっくりと吐く(可能な人は12拍で吐く)
息を吐くことで副交感神経が優位になる。眠る前に行うことで良い睡眠に繋がる可能性大。
お腹引き締め生活に取り組もう
腸内環境を改善し、便秘対策をすることでお腹周りがスッキリするはず。それには腸内環境(=腸内細菌)をケアする食事・睡眠・運動が必須。
腸活というと、便秘・下痢対策を連想しがちですが、腸内環境を整えると、筋トレの効率が上がるほか、ホルモンバランス、血流改善、ストレスリリースなど、多大なメリットがあるのです。
便秘対策として始めたとしても多くの副産物があるので取り組まない手はないのです。
腸内細菌ケアの三カ条を意識した食事
- 菌を入れる
- 菌を育てる
- 菌の邪魔をしない
発酵食品やサプリメントで「生きた菌をカラダにいれる」
これは乳酸菌に限ったことではなく、味噌・納豆・塩麴といった日本ならではの発酵食品は菌のための強い味方。サプリメントで補う場合は、しっかりと腸まで届くものをチョイス。
菌の餌となるものを摂取し「菌を育てる」
植物性タンパク質や、水溶性食物繊維といった、善玉菌を活性化させるためのエサを積極的に食べること。
「菌の邪魔をしない」とは?
手指や口内の除菌をしすぎると必要な常在菌を取り去りすぎてしまうのと同じで、菌を排除する防腐剤や界面活性剤である食品添加物をなるべく遠ざける。
食事だけでなく「運動不足」も菌を邪魔します。適度な運動でカラダを内側から温め血流をよくすることで菌の住みやすい環境ができあがるから!
お腹を凹ます歩き方をマスター
座っている時の姿勢もそうですが、1日の中で立ち歩いている時間でカラダを正しく使うことがエクササイズになります。
骨盤が前傾・後傾にならないよう正しく立て
膝や肩ではなく、骨盤を使って歩きます。足の付け根から前に出すイメージ。
なかなか難しいのでプロの指導を受けることによって早く正すことができますが、自力であれば動画撮影して客観視するのもひとつです。
下腹部をサポートするインナーも効果的
物理的に下腹部を締め付けるというのではなく、骨盤の正しい位置や体の動きをサポートする目的のものを選ぶのが正解です。
正しく座る、正しく歩くことを習得するためのサポートになります。
日々の生活と筋トレで引き締まった下腹部に!
- 大きな筋肉を鍛えることを優先しつつ、腹筋も刺激
- 骨盤を整える
- 血流をよくする
- 腸内環境をケアする
これらの、「毎日の小さな努力」で
男性、女性、そして運動初心者、誰でも簡単にスッキリとした下腹部が手に入るのです。
まずは意識を向ける そこからスタートしてみましょう!
金沢由紀子
(株)elena代表取締役・エディター
学生時代より取材活動を経験した後、NYへ留学。帰国後は主にファッション、旅、インタビューを中心に女性誌で活動。その後、美容やウェルネスにも範囲を広げ、現在はウェルビーイングや女性活躍にまつわる記事の執筆、プロモーションを行っている。