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脳がココロをつくる(メンタル)

幼少期に経験したことがある防災訓練。地震想定の場合、まずは防災頭巾をかぶって机の下にもぐり、そして頭を守る。そう教わったのではないでしょうか。

大人の体重に対して約2%、重さにして1.2-1.6㎏と言われている脳。その脳はカラダ全体をつかさどる大切なところであることは皆さまご存じのとおりですが、科学的に解明されていないことが多くあり、世界中でさまざまな研究が進められています。

今回講演いただいた林脳神経外科メディカルクリニック院長の林靖人先生も、第一線で脳を研究されている一人。その林先生とつながりのある元プロ野球選手の斎藤佑樹さん。そしてトータル・ワークアウト代表の池澤智の3人でお届けするトークショーのタイトルは「脳がココロをつくる(メンタル) 脳のスペシャリストが斎藤佑樹さんのココロを題材に詳しく解析」。

当日、斎藤佑樹さんは諸事情により急遽オンライン参加となりましたが、多くの方々に参加いただきました。



本題へ入る前に

はじめに池澤智より林先生と斎藤佑樹さんのプロフィールをご紹介。林先生のことを斎藤佑樹さんは「野球人生で出会ったことがなかった方」だと言います。長年選手として野球を経験してきましたが、指導においては感覚で色んなことを言われることがあり、エビデンスに基づく林先生の理論は、斎藤佑樹さんにとって斬新で強い興味関心を持ったとのことでした。

トークショーの本題へ入る前、進行役の池澤智から斎藤佑樹さんへ質問。「今までの野球人生でベストゲームを教えてもらえますか?」おそらく多くの人は2016年夏の甲子園決勝。尋常ではない数々のプレッシャーと闘いながら、引き分け再試合の末に優勝した試合を思い浮かべるのではないでしょうか?

斎藤佑樹さんご本人は「プロ入り二年目(2012年)の開幕戦完投勝利」を挙げました。その過程の中には、野球人生で経験したことがなかった苦労がたくさんあったことを明かし、「勝つことの嬉しさ。それを本当の意味で知ることができた試合」ということで、斎藤佑樹さんの野球に対する真摯な姿勢を伺うことができました。

脳がつかさどっているもの

さて、ここから本題に入ります。「そもそも、脳とは?」について林先生の解説。

脳の一般的な解釈としては、カラダを動かす指令を出すところでしょうか。すべての行動や判断は脳が決めます。つまり「がんばれ」と言っても、その「がんばれ」が脳へ届かなければ行動には結びつかない。反対に「なりたい姿や理想」があって、それを頭の中でイメージし続けると、脳がそのイメージへ寄っていきます。

分かりやすい例としては「見る」。複数人で同じ景色を見ていても、見ているポイントはバラバラだと。見たいものを脳が判断し、それを「見る」という行動へつなげている。もし脳がなければ、景色全体を捉えるカメラと同じなのです。

ここで斎藤佑樹さんから林先生へ「脳の状態が良いと視野が広がりますか?」と質問がありました。視野が広がるというよりは、より集中力が高まり、発揮できるパフォーマンスが上がるといったことが挙げられるそうです。

脳の研究は患者を通じて学ぶことが多くあったと林先生は言います。日常生活における慢性的な症状として、例えば頭痛、倦怠感、もの忘れなどがありますが、これらの80%は脳の疲労が原因。それを改善するためには、脳の疲労を取ることが大切だと説きます。

脳の健康状態

生活習慣の影響を受ける脳の状態をどうやってチェックするのか?林先生の答えは「脳の健康状態を数値化すること」。そのために活用しているのがBHQ(Brain Healthcare Quotient)です。

BHQはMRIで脳を撮像し、画像を解析して算出される脳の健康管理指標で、認知症、うつ病、脳卒中などの脳に関連する病気を予防すべく、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)において、新たな「脳の健康管理指数」として開発されました。例えば、知能指数IQ や血液検査のように脳の健康状態を数値化、いわゆる“見える化”することができます。

BHQは年齢と共に低下することが分かっています。また、認知症患者さんでは健康な人に比べて BHQが低いことが明らかになっており、近年の研究では、肥満、食事、疲労・ストレス、ライフスタイルや心の状態、ワークエンゲージメントとの関連も明らかになっています。

参照:BHQ株式会社 https://www.bhq.co.jp/

斎藤佑樹さんの脳

トークショー本番前、林先生に斎藤佑樹さんのBHQを計測していただきました。

斎藤佑樹さんのBHQは108.2。この数値はかなり良い数値と言えるそうです。20~30代でも90点代の方が多くいるようです。数値に関してはさまざまな評価基準がありますが、大きい傾向要素の一つに「睡眠」があり、良い数値の方は睡眠時間が多く、逆に悪い数値の方は少ないようです。

斎藤佑樹さんへ睡眠状況をお伺いすると、「眠れないことはめったにないです!」ということで、プロ野球選手現役を退いた今も夜は23時までには寝て、朝は7時に起きるといったルーティンなので、時間になれば自然と眠たくなるカラダになっているとのことでした。

それを受けて林先生は言います。「朝起きたときにどれだけ気分が良いか?これがバロメータです」。日常生活は交感神経(やる気など)が優位な状態です。それ自体は悪いことではないものの、どうしても脳がオーバーワーク状態になるので、質の良い睡眠をとることで脳をきちんと休ませることが大事です。

また、睡眠は時間ではなく質ということで、いわゆるショートスリーパーは入眠がスムーズ。スッと眠れてしまうのが特徴です。なお、ショートスリーパーであることを自ら認める池澤智もその一人で、朝は目覚まし無しで起きる(幼稚園時代から!)というから驚きです。

また、BHQの数値から下記5つの機能がグラフで示されます。

  1. 認知機能
  2. モチベーション
  3. 共感力
  4. 好奇心
  5. 根気

斎藤佑樹さんは「根気」がMAXで、反対に「好奇心」が一番低い結果に。斎藤佑樹さんが選手現役時代より、パーソナル・トレーニングを通じて良く知っている池澤智も「好奇心」が低いという結果は意外といったリアクション。これに対し、林先生は次のように解説します。

斎藤佑樹さんの好奇心はいわゆる「広く浅く」といったものではなく、常に野球のことを考えているせいか、なにかを見聞しても全部野球に繋げてものを考える傾向が高いと思います。言い換えるなら「根気」がMAXな理由はそれなのではないでしょうか?斎藤佑樹さんも笑顔で納得されたご様子でした。

脳の健康のためにやるべきこと

頭痛、倦怠感など慢性的な自覚症状を放置すると、やがて慢性疲労症候群に繋がりかねません。これは脳の疲労が招いてしまう可能性が高いので、まず確認すべきことは「睡眠」だと林先生は言います。

他にやるべきこととしては「瞑想」。3分だけでも深呼吸して、その呼吸の意識を自分へ向ける。場所を問わず、いつでもできるのでオススメ。あと、適度な「運動」も大切です。30分以上続けてカラダを動かすこと。以前、結構な頻度で買い物に行っているから大丈夫と言う患者さんがいたのですが、買い物は移動であって、30分以上続ける運動ではないのでダメなのです。

あと、「喫煙」も脳の血管を細くするので、酸素の運搬効率が悪くなるのでやめた方が良いとのことでした。

以前、林先生から池澤智が伺った「デジタルデトックス」についても話がありました。デジタルデトックスとは、寝る1時間前から情報を入れない状態にすること。そして、情報とはテレビ、パソコン、スマホ。そして読書なども含まれます。さすがにこれは難しいといった反応が参加者様より多くありましたが、林先生としては「情報の80%は目から取り入れるので、脳に直結している視神経を考えると、寝る直前まで脳が働くことは良くない」と言うことは納得できます。

斎藤佑樹さんも寝る前によく読書されるようですが、「電磁波を発しない紙でもダメなのですね・・・」と少しだけがっかりしたご様子でした。

最後、池澤智より参加者の皆さまへ説明がありました。「今後、林先生の監修をいただきながら、脳に関する複合的なプログラムを開発したいと思います。斎藤佑樹さんもぜひ参画してくださいね!」。そして、斎藤佑樹さんの快諾をいただいたところでトークショーは終了となりました。

このたびトータル・ワークアウトが新たに掲げるコンセプト「ACTIVE WELLNESS(アクティブ・ウェルネス)」は多様な選択肢、正しい選択肢を皆さまへ提供し、生活の質を向上していただくことを目指す取り組みです。これからのトータル・ワークアウトにぜひご期待ください。

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