TOTAL Workout Trainer‘s Room編集部の志水です。
20 年前、学生時代は野球に勤しんでいましたが、なかなかバッティングの飛距離が伸びず、当時世の中に出始めていたウエイト・トレーニングによる肉体改造に着手し、パフォーマンスの向上に取り組んでいました。
しかしウエイト・トレーニングで筋肉を育てると、強くパワーを出せるようになる半面、コントロールしなければならない筋肉の量も増え、新たな課題が自分の前に立ちはだかりました。
近年ジムで担当をさせていただくプロ野球選手の方々は、1回1回の出力の向上は勿論ですが、同じ動きを何度でも確実に出来る安定性、再現性を表現できるカラダの使い方を求められることが非常に多いです。
150 キロの球を投げ、特大のホームランを打つ。そんな野球選手や、アスリートといった多くの方々が取り入れているPILATES(ピラティス)。パーソナル・トレーニングジムというとウエイト・トレーニングを連想されがちですが、TOTAL Workout ではなぜピラティスに⾧年取り組み続けているのでしょうか?
ドイツ生まれのピラティスは、ジョセフ・ピラティス氏が自身の虚弱体質を改善するために開発したもの。その後、負傷した兵士のリハビリを通じてその功績が広く知られるようになり、アメリカに渡ってからはダンサーやアクターを中心に、細やかな筋肉のコントロールと強化が注目を浴び、今や不動の地位を確立する人気のトレーニングになっています。
私、志水にとっては苦手種目であるピラティス。残念ながら多くは語れないのですが、日常生活、トレーニング、スポーツ、どれに取ってもピラティスは効果のある種目、高めるべき能力を磨く術だと思います。(今は野球から離れ、たまにゴルフの練習をするのですが、飛距離はある程度出るものの、物凄く右に曲がってしまい、自らの弱点を痛切に感じています)
トータル・ワークアウトの中でピラティスキャリアの⾧いパーソナル・トレーナーである、前川、志賀トレーナー。そして今その二人を追いかけるべくピラティスに取り組んでいる渡邊トレーナーの3人に、ピラティスの魅力や、実生活への活用方法について聞いてみました。
ピラティスで体感するカラダの変化
志水:新たにピラティスにチャレンジした人は、感覚を得るのが難しくて離脱することがあります。
「やった感が少ない」
「何をしているか分からない」
そんな声をしばしば耳にしますが、志賀トレーナーが継続してピラティスを行っている理由は何でしょう?
志賀トレーナー(以下、志賀):続けていると自分の身体が確実に変わったからですね。
入社してから2 回程、歩けない位腰を痛めたことがあって、本当に辛くて…、今でも十数年お守りのように、コルセットを毎日鞄に入れて持ち歩いている位なんです。
「僕も1 回腰を痛めた時に、そのコルセットを借りたことがあります」と横で笑う渡邊トレーナー。
志賀:ピラティスを始めてから、そこまで腰が酷くなることが激減し、普段の生活でも腰が気になることが確実に減りました。
志水:それはピラティスを始めてからすぐに感じたのでしょうか?
志賀:ピラティスの資格取得の為に練習をしている段階から既に感じていました。腰の痛みの軽減は勿論、その頃頻繁に行っていたゴルフでは身体の捻りが行き過ぎてしまう位、カラダが捻じれるようになって、びっくりしたのを覚えています。そういう意味で、ピラティスを取り組む際には、トレーニングやゴルフなどのスポーツにも取り組むことで、カラダの変化をより体感しやすくなるのではないでしょうか?
捻じれと伸展
渡邊トレーナー(以下、渡邊):僕は、「やった感が少ない」「何をしているか分からない」と感じるお客様の気持ちが分かります。はじめは変化を意識出来ず苦戦したのですが、元々解剖学が好きだったこともあり、解剖学的な視点からピラティスを理解することが楽しく、続けているうちに入社当時はよく注意されていた猫背が改善し、皆から姿勢が良くなったと言われてたことから変化を実感しました。
僕は週末にサッカーをしているのですが、金曜日の夜にピラティスのレッスンを受けると翌日のサッカーは、確実に調子が良いです。
志水:具体的にはどのような?
渡邊:ポジションがサイドバックで、遠くまでボールを蹴るのですが、股関節の内外旋や、胸椎の伸展を使い、カラダ全体をしなって蹴れるようになります。
また、自分は力みやすいタイプ。
ウエイト・トレーニングでは「縮める」ことで力を発揮することが多い反面、サッカーのプレーでは筋肉が「伸ばされながら力を発揮」することが求められます。力みやすく伸びにくいという自身の苦手な動きをカバーする種目がピラティスに多く、今はどこに・どう効かせるかをしっかり感じながらピラティスに取り組んでいます。
自分で気づき、調整するスキルを高める
志水:皆さんがピラティスを指導する上で、気を付けていることは何がありますか?
前川トレーナー(以下、前川):意外と細かいことを行っているように見えるかもしれないのですが、頭で理解するよりも、まず沢山動いてもらっています。ピラティスはウエイト・トレーニングなどと違い、トレーナーがお客様のカラダに触れて押したり、引っ張ったりする訳ではなく、自分で動くということが重要。自分で動かして、自分で心地よいポジションを知って貰う、そのお手伝いをさせていただくという関りを大切にしています。
ピラティスでは、マッサージを受けている訳でもなく、ペアストレッチをしている訳でもないのですが、自分でどんどん動いた結果、「感覚的な気持ち良い」ではなく
・立ちやすい
・足が動きやすい
・肩が動かしやすい
・ここの軸が自分の気持ち良い場所だ
を実感していただくことで、「根本的に気持ち良い状態」を体感することができます。
だからこそ、一度整ったカラダの状態が次のセッションでは元にもどっていることがあります。
しかし、99%戻ったとしても1%でも進歩しているのであれば、どんどん積み重ねていけば必ずカラダは変わっていきます。なので、少し頻繁にセッションすることをお勧めし、宿題を出して、少しでも早く前進していただけるように心がけています。
ピラティスはストーリーでとらえて欲しい
渡邊:ピラティスは継続してもらうことが重要な種目です。
1 回目は自分のビフォーアフターの姿勢を感じて貰うこと、良い姿勢を保持する為の筋肉を意識できるようになることに全力を尽くしています。そして、一つ一つの種目を単体でとらえず、積み重ねて進んでいくことでピラティス全体のストーリーをとらえてもらえるよう心掛けています。
志賀:動きの中で修正しないと最終的に出来るようにならないので、どんどん動いてもらうことが本当に大切。ただし初回の場合は、理解が深まらないまま先に進めることになり、結局やった感が少なくなり、お客様がピラティスから離れてしまったという過去もあります。そこで最近は、初回は分かりやすいことを深く行います。合わせて、理解を深めて貰う為に、事前に次の段階はどのようなことが起こるのか、未来を予測させる要素をしっかりと言葉で説明するようにしています。
前川トレーナーも行っていましたが、次の段階にたどり着きやすくするために宿題を頻繁に出すようにしています。その日得た感覚を忘れない環境作りが、次のステップに進む近道になります。
宿題をしていないと、動きを見るとすぐに分かります。
志水:それは怖い・・・
宿題をしていない方に、割とズバッと言っているシーンをよく見かけますが、あえてそうしているのでしょうか?
志賀:ちょっとでも前進して欲しいと思っているのと、停滞が長くなると1歩どころか一気に2~3歩後退し、継続できない要因になります。トレーナー側が押し付けるだけでなく、自ら前向きに取り組んでいただく、そこに協力をしながら進んでいく、というやり方が、自ら気づくスキルを高めるピラティスには必要だとおもっています。だからこそ単刀直入に伝えるようにしています。
ラダーバレルを導入した経緯
志水:兼ねてから前川トレーナーが導入したいと言ってくれていた、ピラティスの種目のラダーバレルがついに導入されましたね。ラダーバレルについて教えてください。
前川:ピラティスのコンセプトである「脊柱の動きを出す」ということに対して、ラダーバレルは最も安全且つ、最も有効的なものだと思っています。
トレーニングの中で、直線的な動き、回旋の動きは行っているのですが、上半身の動きは下半身と比べると、どこかに接地していることが基本的には少ないのです。
人間本来の動きは、小さな回旋から大きな回旋に連動させ出力して動いているもの。上半身が接地した状態で丸める、接地した状態で捻るなどの動きから高められるはずなのに、実践できる種目が少ないのです。
ラダーバレルでは、大きなアーチのアークを使うことで、目標地点を定めて動くことが出来る点がものすごく大事なことだと思っています。
現代ではよくある現象として、
腹筋が抜けて、背筋と四頭筋で姿勢を作る人が多い。
これを解消するために、ラダーバレルを使用して正反対の方向で正しい筋肉を使うことが、正しい姿勢を作る近道になるのではないかなと思っています。
志水:どんな人にお勧めでしょうか?
前川:1 つは、すでに筋肉がしっかり付いている方、スポーツをされている方が、伸び感をだすことに最適だと思います。もう1つは、上半身が板になっている人ですね。
3 人:え…板?
前川:ざっくり言うと、姿勢が悪い人!
バレルの部分が大きな緩やかなアーチになっていて、接地面が目標になりやすく、板のような姿勢が伸びやかでしなやかになると思います。
今回ピラティス担当のメンバーに改めて話を聞き
- トレーニングの伸び悩み
- スポーツのパフォーマンスを向上させたい
- 姿勢が悪いのを治したい
など、様々な目的や課題に対して効果を発揮するプログラムであることを再認識しています。
リフォーマーやマットピラティスを日頃から取り組んでいる方の拡張した種目としてはもちろんのこと、これまで全くピラティスに取り組んだ事がない人、過去にピラティスに取り組んだものの挫折してしまった方にとっての再チャレンジにもおすすめです。
ラダーバレルの担当トレーナー達は、優しさだけでなく手厳しい面もあるメンバーですが、効果と継続出来る楽しさもセットで得られると思います。
ぜひ、チャレンジをお待ちしています。
ピラティスに関する記事は以下も参考にしてみてください。
前川トレーナー、志賀トレーナー、渡邊トレーナー他
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