寝る前のストレッチに嬉しいメリットがあるのをご存じですか?
ダイエットの効果を上げる、肩こりや眼精疲労の緩和といった肉体的なメリットから、睡眠の質の向上や自律神経のケアといった精神的な部分にもメリットがあるんです。
トレーニングに比べてストレッチは簡単な動きが多く、運動が苦手の人も無理なくトライできるのでおすすめです。
寝る前のストレッチをライフスタイルに取り入れてアクティブに人生を楽しむカラダづくりをしてみませんか。
今回は寝る前のストレッチが効果的な理由や、簡単なストレッチのメニューとそのやり方をお伝えします。
寝る前ストレッチの効果
なぜ寝る前にストレッチをするとよいのでしょうか。
ストレッチがもたらすメリットを説明します。
痩せやすい状況をつくる
ストレッチをすることで柔軟性や関節可動域がUPするので、筋トレが正しいフォームでおこなえるようになります。すると筋トのレ効果も上がり、代謝の良いカラダへと変化するので、自然と痩せやすいカラダになってくれます。トレーニング初心者は特にストレッチを重視すべきなのです!
また、寝る前のストレッチは副交感神経を優位にするので心身の緊張がほぐれて睡眠の質が良くなるという嬉しい効果も。ホルモンの分泌も整ので、過剰な食欲が抑えられるということもありいいことづくめ。やらないという選択はありませんね。
※睡眠の質が良くなることで、血糖値が安定しやすくなるといった研究もされているので、今後も注目が集まりそうです。
疲労回復
ストレッチで筋肉の緊張による疲労がほぐれて、血流やリンパの流れがよくなり代謝があがることで疲労が回復します。
毎晩ストレッチをしてカラダをメンテナンスすることで、大きな疲れがたまらないようになります。
筋トレなど、運動後はとくにストレッチでカラダをほぐし疲れを筋肉痛を軽減したいもの。
血流改善
ストレッチで血流がよくなることで、代謝があがり、、冷え性・むくみ・頭痛や腰痛・眼精疲労の軽減が期待できます。カラダのめぐりがよくなることで不調になりにくいカラダが目指せます。
リラックスと睡眠の質の向上
筋肉を和らげ血流がよくなると、脳の前頭葉でアルファ波が増加して、心身のリラックス効果を生む副交感神経が活性化されます。これで脳の疲労が軽減され、良い睡眠へと導きます。
集中力・仕事効率の向上
代謝の良いカラダを手に入れ、すっきり目覚めてカラダの疲れがとれていれば、日中の集中力が高まり、活動的なカラダと脳でやるべきことを効率的にこなすことができます。
やるべきことを早々に終えることが出来れば、カラダづくりに費やす時間も、人生を楽しむ時間も手に入れることが出来るでしょう。
寝る前のおすすめのストレッチ
おすすめの快眠、回復力UPに役立つストレッチをご紹介します。
ちなみに、良い眠りとは睡眠時間の長さや寝つきの良さよりも、寝起きのスッキリ感が指標になります。
脳を休ませる呼吸ストレッチ
脳やココロを緩めてリラックスさせるためには副交感神経を有意にすること。副交感神経優位にするためにはしっかりと「呼吸する」ことが大切。ここでは呼吸のストレッチをご紹介します。
基本姿勢は「座る」か「寝る」。呼吸法はそれぞれ同じなのでやりやすい方でおこなってください。
基本姿勢
<座る>
あぐらをかきます。姿勢をよくして骨盤をたてて座ること。手のひらを上にして両腕を膝の上におきます。親指と人差し指を付けて軽く丸めます。肩に力が入らないように注意してください。
<あおむけに寝る>
あおむけに寝て、膝を立てます。両手はお腹の上におき呼吸を意識すること
<呼吸法>
「座る」 「寝る」 どちらの姿勢でもやりやすい方で以下を行ってください。
・腹式呼吸で行います
鼻からしっかり息を吸ってお腹を膨らませます。吸いきったら鼻から息を全部吐いてお腹をへこませます。
・リズム
4拍で吸い 8拍で吐くこと(可能な人は12拍で吐く)。吸う時に交感神経優位になり吐く時に副交感神経が優位に働くので、寝る前は吐くことに注力した呼吸をすると副交感神経優位になりカラダが休養モードに入りやすいです。
・イメージ
鼻から息を吸う時はエネルギーをカラダに取り込む、吐くときは不要な物を手放すイメージで深い呼吸をつづけることで、自然と呼吸に「集中」できます。
・ポイント
呼吸に集中して、思考や判断をしない状態で脳を休めましょう。万が一雑念が浮かんでも「あ!余計な事を考えてしまった!」とマイナスに捉えずに「横道にそれた」とポジティブに。
呼吸に「集中」することに慣れたら、次のステップは集中していた意識を「解放」すること。集中と解法をコントロールできるようになると、リラックスだけでなく、日常の仕事の効率・集中力や判断力の向上にも繋がっていきます。これがAppleやgoogleもとりいれているという話題の「マインドフルネス」になります。
マインドフルネスについては以下の記事も参照してください。
寝る前に逆効果なストレッチ
アクティブに動きながら行う「動的ストレッチ」は関節可動域の拡大や交感神経を優位にして血流増加・体温上昇させる効果があるので、運動・筋トレ前のウォーミングアップや朝に最適。反面、寝る前には適しません。
ただし、寝る直前でなく、夕方などであれば動的ストレッチを行ってカラダを疲れさせることで、適度な疲労感が生まれて、よい睡眠につながることも考えられます。
寝る前には「静的ストレッチ」をしてください。
関節可動域を広げたり疲労回復を促す効果があり、副交感神経優位にしてくれます。
快眠ストレッチ
静的ストレッチのなかでも快眠・リラックス効果の高いストレッチを紹介します。
日中デスクワークなどで同じ姿勢を長時間していると背中が凝り固まります。背中が硬くなるとと呼吸が浅くなり快眠に繋がらなくなってしまいます。そこで肩甲骨や背骨の土台となる骨盤周りをしっかりほぐすことが必要になります。
快眠ストレッチ❶股関節回りをほぐす
- 仰向けに寝て、片脚を90度持ち上げます。
- そこから持ち上げた脚を反対に倒すようにして腰を捻りましょう。(左脚を持ち上げた場合そのまま右に倒す。)
- 腰からお尻にかけて心地よく伸びたところで止め、30~60秒ほどキープします。呼吸は楽に続けて、息を止めないようにしましょう。
- できる人は、顔を倒した脚と反対側に向けるとよりストレッチがかかります。身体の力をできるだけ抜きます。とくに伸びている腰やお尻の力を抜くようしましょう。力んでしまうと十分に筋肉が伸びません。
- 終わったらゆっくりと戻し、反対側も同じようにおこないましょう。これを片側2~3回ずつおこなってみましょう。
快眠ストレッチ❷肩甲骨周りをほぐす
- ヨガのチャイルドポーズをします。足の親指を重ねて正座をし、お尻を下げて体を前に倒しおでこはマットにつけます。
- その姿勢のままで鼻から息を4秒吸って4秒吐くを繰り返してください。
- 10回ほど続けると肩甲骨が伸びてすっきりします。
- 出来る人はなるべく手を遠くに置くように頑張りましょう。(無理は禁物)
血流促進ストレッチ
無理のない動きで血流をよくし心地よく眠りにつきましょう。
女性は特に、生理中は全身の巡りが滞り冷えに悩まされる人が多い。生理中の運動は辛くとも、寝る前のストレッチであれば無理の無い範囲で取り組めるのでは?
血流促進ストレッチ❶お尻・腿裏
- 椅子に座り左足を右膝の上に置きます。(左足の膝を外に倒し、足首の外側を右膝に乗せる)
- そのまま体を前に倒します。
- ゆっくり鼻から吸って鼻から吐くを繰り返します。
- 反対側の足でもおなじように。5から10回を目安にやってみてください。
- 下になっているほうの脚は、できる方は内側めにおいて、つらい方はすこし伸ばして行ってください。
血流促進ストレッチ❷体側
- まず、椅子に座ります。(椅子は高すぎず低すぎない、座ったときにちょうど膝が曲がる高さがベスト)
- 背中や腰が曲がらないよう姿勢よく骨盤を立てた正しい姿勢を意識してください。
- 次にタオルを両手で持って頭の上にあげます。手の位置は耳の後ろに。鼻で息を吐きながら右側へゆっくりと倒します。左手でタオルを引っ張るイメージで息を吸いながら頭の上に戻します。
- 同じように息を吐きながら左側へゆっくりと倒します。
- そして吐きながら戻す。これを10回ずつ繰り返す。お尻が椅子から浮かないように注意しながら行ってください。
血流促進ストレッチ❸ふくらはぎ
第2の心臓ともいえるふくらはぎの筋肉。日中座りっぱなしだとポンプのはたらきが弱まり、浮腫みや冷え性の原因になることも。足が冷えて眠れない、足がつって起きてしまう、と言う人は寝ながら布団の上でふくらはぎをストレッチしましょう。
- ベッド、布団の上にあおむけに寝転がり、両手でふくらはぎをもみほぐす。
- カカトをつっぱり足の指を手前に引き付ける。
- 足の指を丸めてつま先をぐっと伸ばす。
- 片方の足を曲げ、もう一方の脚のふくらはぎを立てた足の膝の上にのせ膝でふくらはぎを押し伸ばす。ふくらはぎの外側・内側も同様に。
- 反対足も同様に行う。
疲労回復ストレッチ
心身の疲れを和らげるストレッチです。次の日に疲れを残したくない派に。
❶足のだるさ解消 ~屈曲
- 仰向けに寝て、片方の太ももを持ちあげて胸の方に引き寄せます。肩の力を抜いて行うこと。呼吸も 忘れずに。
- 鼻から吸って鼻から吐くをゆっくりと。
- 反対側も同じようにおこなってください。
❷足のだるさ解消 ~伸展
- 屈曲の動きが終わったらそのまま横向きになって上の膝を曲げて足首をつかんで太ももの前側を延ばすように足首を後ろの方に引きます。
- 体の向きを変えて反対側も同様に行ってください。足首を掴みずらい方はタオルなどを巻いて上半身に余計な力が入らないようにしましょう。
❸目と首の疲れを軽減するストレッチ
- 首の後ろに手をおき、ゆっくりと息を吸いながら肩甲骨を内側に寄せて胸を張る。
- 息を吐きながら顎を引くように顔を前に倒し、脇を締めて首の後ろの筋肉を5秒ほど伸ばす。
❹歪みを整えるストレッチ
日中座っている時間が長い人は骨盤がゆがんでいることで反り腰による腰痛やストレートネックによる肩こりに悩まされることがあるでしょう。寝る前に上半身と下半身のつなぎ目である骨盤を正常な位置に矯正するイメージでストレッチしましょう。
- 足を肩幅に開き、手は腰に添える。膝は軽く曲げる。
- 肩と膝が動かないよう固定する。
- 息を吐きながら骨盤を後ろに傾ける。
- 息を吸いながらお尻を突き出し骨盤を前に傾ける。前後10回繰り返す。
- 息を吐きながら骨盤を左前方に突き出す。
- 息を吸いながら姿勢を戻し、また吐きながら骨盤を右前側に突き出す。左右10回繰り替えす。
最後に骨盤を円を描くように回す。息を吐きながら右回転→息を吸いながら左回転を1セットとし、10セット。※上半身を反らしたり前かがみならないよう気を付けること。
おまけ:寝起きのストレッチ
腹式呼吸で自律神経を交感神経優位にしてやる気アップ。腸も刺激して朝の便通を促しましょう。
脳を休ませる呼吸と基本は同じですが、息を吸う・吐くのリズムが違います。
- 1杯の水を飲む。白湯でも、常温でも、冷水でも、飲みやすいものでOK。
可能であればカーテンをあけて日の光を浴びるとなおよい。 - あぐらをかいてすわる、もしくは足を肩幅に開いて立ち両手は腰に。骨盤を床に垂直に立てる。
- 眼を開いたまま、鼻から4拍で息を吸い、鼻から4拍で息を吐く。
- 吐くときに交感神経が優位になるので、気持ち強めに息を吐くとなおよい。
- 吸った時お腹を膨らませる、吐いた時お腹をへこませる。この動きが腸のストレッチにもなる。
寝る前ストレッチの効果を上げる方法
水分補給
寝る前は水分摂取を控える人が多いですが、寝ている間のカラダは汗などをかいて水分が奪われてしまい、脱水状態になりやすい。水分が不足していると実はカラダは浮腫みやすいのです。
ストレッチをする際は積極的に水分を摂ってください。一度にたくさんがぶがぶ飲むのではなく、少しずつ回数を多く飲むのがおすすめです。
特に入浴後のストレッチであればなおさらきちんと水分を摂ってください。
水ではなく、電解質の入った飲み物でもかまいませんが、糖質の高いものカフェインが入った飲み物はNGです。
マッサージ
ストレッチのついでにリンパを流すマッサージを行うと血流が促進され、より疲労が回復されます。
自分の好きな香りのアロマが入ったオイルを使うことでリラックス効果もUPするので効果大。
ドライブラシ、マッサージブラシ、フォームローラーやストレッチポールを使うのもおすすめです。一番大切なのは自分が心地よいと感じるものをチョイスすること。
入浴
お風呂に入ることで血行が良くなるのでストレッチ前に入ることをおススメします。 寝る前の1~2時間前までに入浴し、ストレッチをおこない、カラダの深部の熱がゆっくり冷める過程で就寝するのがベストです。
血行促進効果が見込める炭酸入浴剤や、肌からの吸収が効率的なマグネシウムのはいった入浴剤、自分の好きな香りの入浴剤などを入れるのも効果的です。
腸が喜ぶ食事をする
実は「腸」と「脳」は密接な関係性があるのを知っていますか。今話題の脳腸相関です。生物にとって重要な器官である脳と腸がお互いに密接に影響を及ぼし合っているとい言葉です。仕事や人間関係のストレスでお腹が痛くなり、下痢や便秘を起こすことありませんか。この現象はストレスを感じた脳が神経を介して腸へ信号を送っているのです。腸は第二の脳とよばれていて、たくさんの神経が集まっており、腸内細菌が心やカラダに大きな影響を与えると言われています。また、うつ病治療に大きく関与するセロトニンの原料が作られていることもわかっており、腸内環境を整えるこが脳にいい影響を与えることになります。
ゆえに、日ごろの食生活で腸内環境を整えることが睡眠の質にかかわってきます。発酵食品や腸内細菌が喜ぶ食物繊維・ビタミンやミネラルを摂り、腸内細菌が苦手とする添加物や合成甘味料は極力さけることが重要。
タンパク質、脂肪、糖質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂ることはもちろんのこと、中でも代謝にかかわるビタミンを積極的に摂ると疲労回復の効果が見込めます。
麻に含まれる成分CBDが人間のエンドカンナビノイドシステム(恒常性)に近しい作用をするということで自律神経を整えたり、快眠、疲労回復に効果があるということがわかり、リラックスやリフレッシュのために活用されるようになり、注目を浴びています。
食事時間と栄養素
胃に食べ物がある状態だと、消化吸収にエネルギーが使用されるため質の良い睡眠が得られづらくなります。寝る3時間前、難しければ遅くとも2時間前までには食事を終えるようにしましょう。
空腹のまま眠ることもカラダの回復や睡眠の質のためにはよくありません。
どうしてもお腹が空いてしまった場合は、植物性プロテインなど、消化の負担にならないたんぱく質を摂取すると良いでしょう。回復力を高めるBCAAやスーパーフードが入っているものだとなお良いでしょう。
日の光でホルモン分泌をうながす
幸せホルモンとよばれるセロトニンは、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの材料になります。日中日の光を浴びることで分泌が促されるため、ベストは外で運動すること。
日焼けが気になる人は、手のひらだけでもよいので1日15分以上日の光を浴びるよう心掛けたいもの。
脳を休める
人間は1日に約35,000回の「判断・決断」をしていると言われています。こんなに脳を使っているのだから相当疲労しているのです。
ベッドに入る1時間前からデジタルデトックスや情報デトックスをすることをおススメします。脳を休める時間が必要です。星空を眺めるなんてことができたらいいですが・・・現代社会ではなかなか難しい。この時間をストレッチと呼吸にあてて脳を休めて自分に向き合う時間にしてください。
完全に情報デトックスがむずかしいとしても
・毎日眠る時間を一定にする
・眠る前の行動をルーティン化する
・1時間は無理でも、5分、できれば15分のデジタルデトックスをしてみる
これだけでもカラダが睡眠モードになりやすくなります。流れ(行動)をルーティン化すると判断しなくてすむので脳をリラックスさせることができるのです。
【まとめ】寝る前ストレッチ習慣でダイエットも睡眠の質も効率アップ!
今までなにげなくストレッチをされていた方もいらっしゃると思いますが、夜寝る前にストレッチをすることで
- 痩せやすいカラダづくり
- 疲労回復
- 血流の改善
- 睡眠の質の向上
といった効果があるとわかっていただけたと思います。
今回ご紹介したストレッチは誰にでもできる簡単なもので難しい動きはひとつもありません。リラックスして自分を休めてあげること。そんな時間を持つだけで心もカラダもデトックスされて前向きになれます。
ダイエットやカラダづくりにとどまらず、生活の質や健康寿命の向上、脳やメンタルの健康にも効果があるストレッチ。夜寝る前に組み込むことで多くのメリットがあるのでぜひ習慣にしてください。
見学裕己子
(株)elena代表取締役 ライター
結婚、出産を経て、光文社「VERY」でライターとして活動開始。その後「STORY」「HERS」編集部にてファッション、インタビュー、旅、ライフスタイルの取材を行う。ライター歴22年。アラフィフ世代のウェルビーイングについて取り組みたいと2021年3月(株)elenaを立ち上げ。イベントのプロデュースのほか健康関連のサイトでディレション、取材や記事作成を行なう。健康管理士1級指導員の資格も取得。