筋トレの効果を高めるためには正しいフォームが重要です。そして正しいフォームで行うためには、筋肉の柔軟性が必要不可欠といえます。特に肩まわりの筋肉は上半身のさまざまな筋トレに関わるため、柔軟性を高めることでよりトレーニング効果が高まるでしょう。
この記事では「肩まわりのストレッチの方法を知りたい」「上半身のトレーニング効率を高めたい」という人に向け、肩まわりのストレッチについて解説しています。
肩のストレッチをするメリットから、肩がこりやすい人の原因と改善法、そして具体的なストレッチ法まで解説しています。
正しい肩のストレッチ方法を知って、トレーニング効率を高めると共に、肩が上がらない、首こりがひどいといった問題点を改善するストレッチで生活の質もアップしましょう。
筋トレをしている人が肩のストレッチをするメリット
筋トレをしている人が肩のストレッチを行うメリットについて解説します。
- 筋肉の柔軟性が上がる
- 関節可動域を拡大できる
- 大きな筋肉を効率よく成長させられる
筋肉の柔軟性が上がる
肩のストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性が上がります。人によっては、筋肉が硬いせいで正しいフォームで筋トレをできない人もいます。そうすると、トレーニング効果が低下する上に、怪我のリスクも高まってしまうのです。
肩の筋肉をストレッチすることで柔軟性が高まり、肩関節を使う筋トレを正しいフォームで行いやすくなります。また、トレーニング前にストレッチをすると筋肉内の温度も高められます。これらによって、筋トレ効果の底上げができるのです。
関節可動域を拡大できる
筋トレの効果を高めるには、筋肉をより大きく収縮させることが重要です。肩のストレッチを行って筋肉の柔軟性が高まれば、関節可動域が広がります。関節可動域が広がれば、より大きく筋肉を収縮させられるため、筋トレの効果を高められるのです。
また、関節可動域が広がることで、より正しいフォームで筋トレを行いやすくなるので、筋トレ効果の底上げにもつながります。さらに、怪我の防止にも有効です。
大きな筋肉を効率よく成長させられる
ダイエットやボディメイクが目的の場合、上半身だと大胸筋や広背筋などの大きな筋肉を鍛えて、基礎代謝を向上させることが有効です。
筋肉はついているだけでエネルギーを消費してくれるため、大きな筋肉をさらに大きくすれば基礎代謝が増えて、より太りにくく痩せやすいカラダになります。
肩関節や肩甲骨付近には、大胸筋・三角筋(肩)・広背筋のように大きな筋肉が付着しています。肩の筋肉の柔軟性を高めることで筋トレ効果を底上げし、大きな筋肉をさらに大きくすることで、より基礎代謝の向上を狙えるでしょう。
肩がこりやすい人の原因
肩がこりやすい人は、肩甲骨の内側につく菱形筋や僧帽筋などが固まっている人が多い傾向にあります。肩が上がり胸が縮こまると、呼吸も浅くなってしまいます。
呼吸が浅くなることで知らないうちに酸素が不足したり、こり固まった筋肉が血流を阻害したりすることで、頭痛や眼精疲労、ストレスにつながるのです。
肩がこりやすい人は、スマホやパソコンなどの端末を扱うときや、ものを書くときに背中が丸まったり肩が上がったりしていないか気をつけてください。同じ姿勢を長時間続けることも、肩がこる原因になります。
肩こりのメカニズムと改善方法
肩こりは肩の筋肉が緊張した状態を長時間続けることで、筋肉が硬くなるために起こります。肩が上がったり背中が丸まったりしている状態は僧帽筋や菱形筋を緊張させ続けます。
筋肉の緊張が続くことで、筋肉が疲労して痛みがでます。また、筋肉が硬くなることで血流が滞って酸素が不足し、頭痛や眼精疲労にもつながるのです。
また、スマホやパソコン操作で腕を軽く上げた状態をキープすることも、肩周りの筋肉を長時間緊張させて硬くします。
肩周りの筋トレ後や、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けた場合は、しっかりストレッチをしましょう。ストレッチによって血流が改善されて疲労物質の除去が促進され、筋肉の回復を促すことができます。
マッサージや整体でも肩こりが良くなるかもしれませんが、対処療法であるため、根本的に整えるため、ひどい肩こりを未然に防ぐためにはやはりストレッチをするなど、自らの取組みが重要になります。
肩がこりやすい原因第一位「肩甲骨」
肩甲骨が動かない
肩がこりやすい人は、肩甲骨の内側につく菱形筋や僧帽筋などが固まっている人が多い傾向にあります。肩がこりやすい人は、スマホやパソコンなどの端末を扱うときや、ものを書くときに背中が丸まったり肩が上がったりしていないか気をつけてください。同じ姿勢を長時間続けることも、肩がこる原因になります。
呼吸が浅い
肩甲骨が固まっていると、知らず知らずのうちに肩をストンとおろせなくなってしまいます。肩が上がり、猫背気味に胸が縮こまると、呼吸が浅くなってしまいます。
呼吸が浅くなることで知らないうちに酸素が不足したり、こり固まった筋肉が血流を阻害し
たりすることで、頭痛や眼精疲労、ストレスにつながるのです。肩の血行を促進するストレッチで深い呼吸も手に入れましょう。
肩こりの原因第二位「姿勢と骨盤」
肩がこりやすい人は肩甲骨のストレッチだけをすればよいかというと、そうではありません。肩甲骨をほぐしつつも、骨盤も意識しましょう。
骨盤の傾き
日常生活の姿勢に自信がありますか?座るときに背中が丸まっていないか、骨盤が後ろに倒れていないかが特に重要です。
骨盤は背骨の土台のようなもの。土台がしっかりしていないと上に乗る背骨や、肩甲骨まわりに歪みや動きづらさを引き起こしてしまいます。
正しいS字カーブ
背骨は、骨盤から頭蓋骨にかけてS字カーブを描いています。しかし、骨盤の角度が悪いとS字カーブが崩れて背中が丸まりすぎたり反りすぎたりしてしまうのです。そうすると無理な姿勢でバランスをとるために、肩周りの筋肉が緊張してしまいます。
そのため、骨盤が肩こりの原因になっていることもあるのです。もも裏のハムストリングスやお尻の筋肉が硬いと、骨盤が後ろに傾きます。一方で、もも前の大腿四頭筋やインナーマッスルである腸腰筋が硬いと骨盤が前に傾いてしまいます。
特に多いのは骨盤が後ろに傾いて背中が丸まり、肩がこってしまうパターンです。日常生活でも、骨盤の位置を含めて正しい姿勢をとれているかチェックしましょう。
正しい姿勢は骨盤がまっすぐ立ち、腰から首にかけてゆるいS字カーブができる形です。なお、骨盤に原因がある場合は、骨盤周りの筋肉のストレッチが必要になります。
骨盤周り、股関節まわりのストレッチは以下の記事も参考にしてみてください。
肩こりの原因第三位「生活習慣」
ストレッチや筋トレを頑張ることはとても大切。
ただし、週に数時間行うストレッチと筋トレだけでなく、多くの時間を費やす日常の生活習慣が肩こりにもたらす要因は大きいもの。
生活の中で出来る小さな努力もお忘れなく。
座りっぱなしで動かない
デスクワークで座りっぱなしで動かない上に前かがみの姿勢は肩こりを引き起こしてしまいます。トイレに行くなど、立ち上がる際にかならず肩を上げ下げする、肩甲骨を寄せるなどの小さなストレッチを習慣化してみましょう。
デスクに戻るさいにお水を一杯飲めば尚好です。血流をうながすための水分補給も肩こり対策に一役買うでしょう。
ランチにでかけるときは大きく腕を前後に振って歩くこともおすすめです。
デスクワークの環境改善
デスクワークの際の姿勢とパソコン画面の高さは正しく設定されていますか?
画面の位置が低すぎて前かがみになる、肘が安定せず肩が上がってしまう・・・そのような姿勢で1日数時間作業をすれば肩に負担がかかります。
パソコン利用時の注意点
- 眼と画面の距離は40cm以上
- 目線はやや下め
- 肘は肘置きなどに置けるとよい
- 脚の裏がしっかりと床についている
パソコンの画面が下すぎると首に負担がかかりストレートネックの原因になりやすいので注意。スマホを利用する際も目線より下げすぎない事を意識しましょう。もちろん長時間使いすぎないよう意識することも大切です。
ストレス
ストレスにより自律神経が乱れると血流が悪くなったり、奥歯のかみ合わせや肩に力がはいることで肩こりに繋がる可能性があります。
ストレスを無くすことは容易ではありませんが、自律神経を整える為、肩の力を抜くために以下のことを意識してみてください。
- 腹式呼吸をする。特に吐くほうを眺めにするとよい。
- 奥歯を常にかみしめている人は、上下の奥歯を離すことを意識
- 寝る前に頭、顎、肩の緊張をゆるめベッドに沈み込む感覚をイメージする
呼吸法については以下で詳しく説明します。
あなたの肩甲骨は大丈夫?
肩甲骨の固まり具合をチェックする方法を紹介します
セルフチェック❶
- 床にあおむけに寝転がる(ヨガマットなどを敷くことをオススメします)脚はとじる。
- 両腕を真横にまっすぐ伸ばし、カラダ全体がTの字になるようにshじ、こぶしを軽く握る。
- 肘を90度に曲げる。握ったこぶしは指が上に来るようにする。
- 腰が浮かないよう、しっかりと床に押し付ける。
- 二の腕の裏、肘、拳の背がしっかりとマットにつきますか?
背中や腰が浮いてしまう人は、肩甲骨周りが固まっている、背中が前に丸まって瀬古是になっている可能性大。早急にストレッチをすることをおすすめします。
ちなみに、この姿勢が楽な人(ストレッチをこなして楽になった人)は、背骨に沿うように縦にストレッチポールを置いて同じ動きをすることで、難易度を上げることができます。
セルフチェック❷
- 床にあおむけに寝転がる(ヨガマットなどを敷くことをオススメします)脚はとじる。
- 腰が浮かないよう、しっかりと床に押し付ける
- 両腕を真横にまっすぐ伸ばし、カラダ全体がTの字になるようにする
- 腰が浮かないように注意しながら腕を徐々に上(頭に近づける)にあげる
肩の水平ラインから45度より上にあげられない人はかなり肩甲骨が固まっている状態。
45度~60度の人も要注意。日常的にストレッチでほぐすことをお勧めします。
肩のストレッチではどの部位をほぐす?
肩には、さまざまな筋肉が付着します。肩こりの原因になる菱形筋・僧帽筋、肩関節を覆うようについている三角筋、肩関節の安定性を支える4種類のインナーマッスル(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)、肩関節の動作で働く大胸筋・広背筋などさまざまです。
その中でも肩のストレッチでは、肩こりの原因となる菱形筋や僧帽筋、大胸筋のストレッチが重要です。これらの筋肉が硬くなると、肩甲骨の位置がずれてしまい、周囲の筋肉を緊張させて肩こりを悪化させます。
ほかにも、肩甲骨下部から上腕に付着する大円筋と小円筋、背骨・腸骨・肩甲骨下部から上腕に付着する広背筋も重要です。これらの筋肉が硬いと肩甲骨の位置が下がって、僧帽筋が緊張してしまいます。
また、肩がこりやすい人は、呼吸が浅くなっている人が多いため、ゆっくりと腹式呼吸をしながらストレッチをしましょう。深い呼吸をすることで、伸ばしている筋肉に酸素を供給できます。
肩をほぐす4つのストレッチ方法
最後に、肩のストレッチ方法を4種類解説します。伸びる感覚をつかむのが難しいストレッチもありますが、それぞれほぐし方のポイントを解説しているので、見ながら行ってみてください。
- 肩甲骨はがし~僧帽筋・菱形筋を伸ばすストレッチ
- 猫背をなおす~大胸筋を伸ばすストレッチ
- 下った肩甲骨をアップ!~大円筋・小円筋・広背筋を伸ばすストレッチ
- カラダに酸素を巡らせる~腹式呼吸でココロもストレッチ
※ストレッチの秒数等についてはその人の骨格や体調などによって異なります。以下で紹介する内容は参考値のため、自分に最適な方法を知りたい方はパーソナル・トレーニングを利用するとよいでしょう。
肩甲骨はがし~僧帽筋・菱形筋を伸ばすストレッチ
僧帽筋は肩こりの主な原因となる筋肉です。僧帽筋は肩甲骨と背骨・頭骨をつなぐ筋肉であり、硬くなると肩甲骨の動きを悪くしてしまいます。肩甲骨の動きは、大胸筋や広背筋、肩周りの筋トレにとても重要です。
菱形筋は僧帽筋の内側にあり、背骨と肩甲骨をつないでいます。この筋肉も同様に、硬くなると肩甲骨の動きを悪くしてしまいます。
肩甲骨の動きが悪いとさまざまな筋トレの効果を下げてしまうので、しっかり前後左右にストレッチをして僧帽筋をほぐしましょう。
正面
- 椅子に座り姿勢を正して、頭の後ろに手を組む。
- 手で頭を押さえ込むように、おへそを見ながらくび筋と背中を丸めて、肘を前に出す。
- 腰は前に倒さない。
- 深呼吸しながら10秒ほどキープする。
背中を丸めながら肘を前に出すことで、肩甲骨の間にある菱形筋を伸ばすことができます。
左右
- 椅子に座り姿勢を正して、頭の後ろに手を組む。
- 首を左右どちらかに45度傾けて、手で頭を押さえ込むように、おへそを見ながらくび筋を伸ばす。
- 背中は丸めない。
- 深呼吸しながら10秒ほどキープ。反対側も行う。
猫背をなおす~大胸筋を伸ばすストレッチ
大胸筋はいわゆる胸板の筋肉です。大胸筋が硬いと肩甲骨が前に引っ張られて背中が丸まってしまい、肩こりの原因になります。また、大胸筋のトレーニングのときにしっかり胸を張れなくなって、効果が下がってしまいます。
肩こりを防止するためにも、筋トレの効果を高めるためにも、しっかり大胸筋を伸ばしましょう。
- 壁の近くに立ち、伸ばす方の肘を90度に曲げて肩の高さまで上げる。
- 肘を壁につける。
- 壁につけた肘と逆の方を向きながら、カラダを回す。
- 深呼吸しながら10秒ほどキープする。
肩の前から胸が伸びているのを感じましょう。肩が外れそうな人は無理をしないでください。
下った肩甲骨をアップ!~大円筋・広背筋を伸ばすストレッチ
肩甲骨が下に下がるのを防ぐため、大円筋や広背筋も伸ばしましょう。これらの筋肉が硬いと肩甲骨の位置が下がってしまいます。
- 右肘を肩の真上に上げる。肘から下の前腕はリラックスさせる。
- 左手で右肘をつかみ、後頭部の後ろへ引っ張り下げる。
- 体幹も左方向に傾ける。
- 深呼吸しながら10秒ほどキープ。反対側も行う。
脇の下あたりが伸びているのを感じましょう。
カラダに酸素を巡らせる~腹式呼吸でココロもストレッチ
ストレッチや筋トレ中は頑張りすぎて息を止めないようにしましょう。血流を促すことでカラダの隅々に酸素や栄養を送り込むことができ、筋肉の伸びもよくなります。
また、自律神経を整えるためにも呼吸は有効。吸う時に交感神経、吐くときに副交感神経が刺激されるので、吸う長さ・吐く長さをコントロールすることで目的に応じて自律神経を整え、心のストレッチにも効果的です。
- 座ってあぐらをかく、または仰向けに寝て膝を立てる。椅子にすわった姿勢でもOK。座る場合は骨盤をしっかりと立てること。
- 肩が上がらないよう、力をぬく。あぐらの人は膝の上に手のひらが上になるようにして手をおくと肩の力を抜きやすい。
- 鼻から息を吸いお腹を膨らませる。
- 吸いきったら、また鼻から息を全て吐きだし、お腹をへこませる。
気分をリフレッシュしたい場合は、目をあけて、4拍で吸い4拍で吐く。少し強めの勢いだとシャキッとしやすい。
逆にリラックスしたい、心を落ち着けたい場合は吐く方を眺めに。4拍で吸い、ゆっくりと8拍で吐く。可能な人は12拍で吐く。無理をしないように。目は閉じてもOK。
肩のまわりをほぐして、筋トレの効果も生活の質も高めよう。
筋トレをしている人が肩のストレッチをすることで、筋肉の柔軟性が上がり関節可動域を拡大できます。関節可動域が拡大すれば、大胸筋や広背筋などを鍛える筋トレの効果をより高められるでしょう。
肩がこりやすい人は、姿勢が悪く肩まわりの筋肉が固まっているため、筋肉の緊張による疲労や痛み、血流の悪化による頭痛や眼精疲労が起こります。そのような場合は、肩周りの筋肉をほぐして姿勢を正すことで、症状を改善できるかもしれません。
筋トレをしていない人も、肩のストレッチをすることで生活の質を高めることができます。もし筋トレも生活に組み込むことができれば多大なメリットがあります。筋トレのメリットについては以下の記事も参考にしてみてください。
僧帽筋・菱形筋・大胸筋・大円筋・小円筋・広背筋のストレッチも紹介したので、ぜひ筋トレ前後に実践して、肩の柔軟性を高めていきましょう。
筋トレで効果を得るためには、負荷や回数を増やすだけでなく「正しいフォーム」をとるために
・カラダの柔軟性と可動域
・左右バランスを整える
・カラダ全体の筋肉の連動が意識できる
などの事前準備や調整が実はとても大切です。
より効果的に肩周りほぐす、全体的なカラダのバランスを整える、自らの弱点を知る、といった多角的なケアで筋トレの効果を最大化したい、筋トレの時間と効率を重視したい、という人はパーソナル・トレーニング歴20年以上のトータル・ワークアウトを検討してみてください。
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