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腰痛を改善する、予防するための筋トレとストレッチをパーソナル・トレーナーが解説!

腰痛に効く筋トレはどんなものでしょうか?

腰回りを鍛える「筋トレ」「ストレッチ」「意識」の3本柱で、腰痛の改善と予防が叶います。体幹のベースづくりで、腰痛予防だけでない「機能的なカラダ」を手に入れることができるのです。

腰痛を改善・予防するためには、「腹筋と背筋をバランスよく鍛えること」が王道といわれがちです。もちろん、それも大切! ただし、腹筋・背筋というグローバルマッスルは、いわばカラダの一番外側の部分。腰痛を根本的に改善・予防するためには、カラダの内側や土台から見直す必要があるのです。

そこで目を向けたいのが、土台である「骨盤」への意識と、骨盤のうえに乗る「脊椎」を支えるローカルマッスルです。

「腰痛を改善する、予防するための筋トレとストレッチ」を、パーソナル・トレーナーに教えていただきます!

腰痛を予防・改善するために、筋トレ他3つのアプローチ

①骨盤

骨盤は上半身と下半身のジョイント部分なので、役割はとても重要です。全体のバランスを保つために負担がかかりやすく、背骨の土台である骨盤が正しい位置で正しく動かないと、背骨がうまく立たず(乗らず)無理な姿勢でバランスをとり、腰痛になってしまいます。

●問題点:骨盤が正しくうごかない
長時間座りっぱなしで骨盤周りの筋肉が固まっている=筋肉が緊張状態だと筋肉疲労で痛みが出たり、血流が滞ってしまいます。

●問題点:骨盤の角度が不適切
骨盤が後ろに傾いていませんか? 逆に腰が反りすぎていませんか?

特に多いのは骨盤が後ろに傾く骨盤後傾です(ソファーに浅く腰かけている状態)。このような状態では、背骨はうまく上に乗りません(傾いた基礎の上にはビルは建たないのと同じ)。これらを改善するためには、単に筋肉を鍛える以前に「骨盤を意識できるか否か」が重要です。

骨盤の意識を高める方法と、骨盤を動かすストレッチは、後ほど解説します。

②脊柱を支えるローカルマッスル

脊柱を支えるローカルマッスルを鍛える筋トレで、腰回りを強化

骨盤という土台の上に乗るS字カーブの脊柱は、ローカルマッスル(腹横筋、多裂筋、大腰筋など)で強化されています。土台(骨盤)がしっかりしていれば、脊椎まわりの筋肉が希薄でも、理論的にはしっかりと脊椎は骨盤の上に立つのです。

とはいえ、脊椎周りのローカルマッスルがしっかりして、土台の上の支柱が太ければより安定するのは明確です。

カラダをしっかりガードするグローバルマッスル

脊椎をとりまくローカルマッスルの外側から、カラダをしっかりガードするのがグローバルマッスル。これが、腰痛の予防には腹筋や背筋が大切と言われる所以です。

前からの腹筋と、後ろからの背筋で、カラダをコルセットのようにサポートします。加えて、骨盤を支えるための下半身の筋肉も大切です。大腿四頭筋、お尻の筋肉は、腰痛以外でも誰にでも必要な筋肉(代謝アップ、血流アップ)なので、以下の段落を参考に鍛えましょう。

骨盤への意識を高める方法

骨盤を意識する

骨盤や腸腰筋を意識するために、胡坐をかいて椅子にすわり、お腹を2mmひっこめる感じで鼻から4拍吸い、4拍で吐く腹式呼吸をしてみましょう。デスクワークの合間でもできる「意識」の仕方です。ドローインとも呼ばれます。

ロングブレスダイエットに近く、どうしても筋トレが続かない人はこれだけでも効果があります。

骨盤を動かす

四つん這いになり、背中を丸めたり反らしたりするドッグアンドキャットのポーズで骨盤動かします。
(立位よりも四つん這い。手足の接地面が多いほど骨盤を感じやすく、動かしやすいです。)
背中を丸めたり反らしたりするドッグアンドキャットのポーズで骨盤動かします。

  • 肩の真下に手を置き、腰の真下に膝をつき、四つん這いになります。母指球(足の裏の親指の付け根)で床をしっかりと押します。
  • 鼻から4拍で息を吸いながら、顎を上げ、顔をそらせ、尾骶骨を引き上げるイメージを作ります。
  • 次に四つん這いの姿勢のまま鼻から4拍で息を吐きながら、骨盤を上に巻き上げ、尾骶骨を下げるイメージを作ります。
  • 交互に10回繰り返します。

骨盤が動きづらい人はストレッチを

腿裏のハムストリングや、お尻の筋肉をほぐすと骨盤が動くようになります。骨盤周りのストレッチについてより詳しく知りたい人は、以下の記事を参照してください。

ローカルマッスルの筋トレメニュー

脊椎周りにある筋肉は、カラダの奥にあるので意識しづらいと思います。まずは上記の呼吸でお腹の下の筋肉の意識を高めましょう。そして以下のトレーニングも行ってみてください。

腰椎の連結を強化して、正しい位置に保つとともに、腰椎を安定する助けをしてくれます。

プランク

簡単な姿勢を保つことで、肩と腕、腹筋そしてお尻の筋肉まで鍛えることができます。

  1. 床にうつぶせになり、両ひじと両足の4点で身体を支える
  2. 背中が真っすぐになるようキープする。
  3. お尻が出っ張って山のような形になったり、逆に背中が下り坂になってお腹が谷になったりしないように。

グルートブリッジ

体幹やお尻と背中に効果的な運動。

  1. 床にあおむけになり、両手を床につけ膝を曲げる。
  2. 手のひらで軽く床を押しながら、肩と膝が一直線になるように腰を浮かせゆっくりと下ろす。
  3. これを10回ほどくりかえす。

さらに負荷をあげたいひとはバッグブリッジに挑戦。

バックブリッジ 

  1. 床にあおむけになり、両手を床につけ膝を曲げる。
  2. カカトを膝の真下に近づけるようにし、両肩と両かかとの4点で身体を支えながらお尻を浮かせる
  3. お尻を浮かせた状態で10-20秒姿勢を保持 ゆっくりお尻を床におろす。

グロバールマッスルの筋トレメニュー

グローバルマッスルとは、手脚や体幹をうごかす主動筋のこと。カラダの外側にある大きな筋肉なので、普通に筋トレをすれば鍛えられます。腰から胴体にかけて物理的にサポートしていきましょう。

腹筋

椅子を使ったレッグレイズ

  1. 椅子の座面に浅く座り、両足を伸ばし床から少し浮かせる
  2. 胸をはり、腕を腕の前で組、ピンと伸ばした状態のまま脚ををゆっくりと上げる。ゆっくりと足を下げ(床には付けない)腹筋がつらく感じる、ぎりぎり耐えられるところで10秒キープ。
  3. 10回前後出来ると良い。

あおむけに寝たレッグレイズ

  1. あおむけに寝転がり、両手を腰の下に置く。
  2. 脚を曲げず、真上にあげる。床と垂直になるように。
  3. 脚をピンと伸ばしたままゆっくりと下にさげ、腹筋がつらく感じる、ぎりぎり耐えられるところで10秒キープ。(床には付けない)
  4. 10回前後出来ると良い。

背筋

ペットボトルを使用したロゥイング

  1. 安定した椅子を準備する、
  2. 脚を大きく前後に開き、右手を椅子の上に、もう一方の手にぺ水を入れたペットボトルを持ち床に向けて腕を下ろす。(両腕とも肘を曲げない状態)
  3. 肩甲骨を寄せるように脇をしっかりと締めてペットボトルを上に持ち上げる。(肘が90度になる位置まで)
  4. この時、二の腕の筋肉を使うのではなく、肩甲骨を内側に寄せて背中の筋肉で持ち上げることを意識する。

大腿四頭筋

下半身の大きな筋肉。骨盤を支える土台です。代謝UP、血流UPで腰痛対策になります。

スクワット

  1. 肩幅に足を開いて立つ。
  2. 両手は胸の高さで組み、頭と肩、お尻のラインが横から見て一直線になるように意識して立つ。
  3. お尻を後ろに突き出すようにし、太ももが床と平行になるところまで膝を曲げて下ろす。
  4. この時、カカトに重心をかけること。
  5. 横から見た時に踵と太ももの付け根、肩が一直線になるように。つま先が浮かないよう気を付ける。

お尻

立つ、座る、歩く、といった動作に必要不可欠なお尻の筋肉です。鍛えれば代謝があがり、ヒップアップにつながります。直接的な筋トレだけでなく、骨盤が正しく動くようになると、よりお尻が高い位置にみえるという嬉しい効果もあります。

ランジ

  1. 脚を肩幅に開いて立つ。両手は胸の高さで組む。
  2. 片方の脚を一歩前に踏み出す。このとき体幹は前傾するが、腰が曲がらないように気をつける。
  3. 踏み出した脚の太ももが地面と平行になるまで大きく沈み込む。
  4. 蹴って元の場所に戻る。
  5. 左右それぞれ15回ほど行う。

グローバルマッスルの筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください。

腰痛におさらば! 「使える」筋肉を育てる筋トレ

グローバル筋は最大筋出力の70%前後の負荷が必要なので、ある程度の重さを持ち上げたりしないと鍛えることができません。対してローカル筋(常に最適な姿勢を保って完璧なフォームで筋トレすればある程度鍛えられる筋肉)は、最大筋出力の40-50%の筋出力でOK。骨盤の意識・ローカルマッスル筋トレ・グローバルマッスル筋トレをこなせば、腰痛自体は改善されるでしょう。

ただし、良い状態を長時間キープできるのでしょうか?

前にかがんで重いものを持ち上げる、カラダをひねる動作、カラダのバランスを崩した時など、動きを伴う状況で筋肉が骨盤をサポートできることは難しいかもしれませんが、これができると本当の意味での腰痛予防・改善になります。

「鍛えた筋肉を、使える筋肉に育てる」これが腰痛予防改善には重要だということは、一般的にあまり知られていません。

使える筋肉を育てるトレーニング

複合動作を入れた筋トレ

プランクの上級編。
プランクしながら右手・左足を宙に浮かし、曲げる・伸ばす動作を繰り返します。
反対の手足も同様に。

不安定な状況で行う筋トレ

バランスボールや、バランスディスクを使用し、不安定な状況を作り出すことで、複数の筋肉を同時に鍛えることができる。日常の動きの中で効果を発揮できる筋肉をつくることに効果的。


選択的筋トレ

同じ筋トレの動作の中に緩急をつくります。

レッドコードをつかった運動療法

レッドコードとは、天井から下げられた赤いロープを使って行う運動療法や器具のことです。リハビリテーションのできる病院や施設、ボディケアを併設しているトレーニングジムでも使用されている場合があります。

筋力増強やストレッチングに効果的な運動療法。腰痛の緩和・筋緊張のリラックスだけでなく、腰痛予防のための腸腰筋のトレーニングやストレッチにも活用できます。また、日常生活において必要不可欠な基本動作の改善を図ります。

レッドコードは、「カラダに余計な負荷がかからない」「安心・安全に運動できる」ので体力や筋力に自信がなく不安な人も、個々に合わせたメニューで効果的な運動メニューの実施が可能。

トータル・ワークアウトでは、筋肉をよりうまく使えるようにする神経系のトレーニング(筋肉と筋肉をむすぶ神経を開通させるトレーニング)の一環としても活用しています。

腰痛を予防する生活習慣

座る姿勢

正しい姿勢は骨盤がまっすぐ立ち、腰から首にかけてゆるいS字カーブができる形です。

椅子に座る際はなるべく浅く座り、下腹部の腹筋を意識してみましょう。

立つ・歩く

立っている時は、恥骨と骨盤を結んだ面が地面と垂直になっている状態がベストです。肩を前後させて歩くのではなく、骨盤をつかって歩きましょう。

眠る姿勢

寝ている時の姿勢を意識するのは難しいかもしれませんが、寝ている間全く動かないよりは、適度に寝返り打つことが理想です。自分にあった枕やマットレスで、首から骨盤までのカーブに負担をかけないようにしましょう。

食生活

腰痛に直接効く食事はありませんが、筋トレに必要な栄養素(食事&サプリ)で筋トレ効果を上げると、おのずと腰痛対策につながるので食事も大切です。

筋トレをすべきでない腰痛

ここではあくまでも慢性的な腰の張りに対する対処、予防、改善方法を記載しています。

痛みがひどい場合や、急性の腰痛の場合は筋トレはせず、理学療法士や医師の指示を仰いでください。

筋トレを日常生活の一部として積極的に取り入れよう

筋トレが腰痛の改善・予防に効果的な理由は、

・骨盤を支える土台を作ることができる。
・骨盤の上に乗る脊柱のコルセットのような働きをする。
・代謝の良いカラダになることで血流がよくなる。

それ以外でも、腰痛の予防改善のための「骨盤を意識したライフスタイルをおくる」「日常の動きの中で使える体幹をつくる」ことで、腰痛対策だけでなく、より活動的で、より美しいカラダを手に入れることが出来るのです。→生活の質があがります。

このように筋トレには様々なメリットがあるので、ぜひ積極的にとりいれて欲しいです!

筋トレのメリットについて知りたい人は以下の記事を参照してください。


文/北野法子
ライター

雑誌「STORY」で長年多くのヘア記事を担当。他にも美容にファッション、あらゆるテーマも持ち前のミーハー魂で好奇心旺盛にチャレンジ。STORYwebではホテル旅やクリニック体験など、その行動力を活かした体当たりレポートも好評。第10回JAL海外生活エッセイコンテスト一般の部で「優秀賞」取得。

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Team elena

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人生100年時代のウェルビーイングを追求

ウェルビーイングにまつわるウェルネス、美容、ファッション、旅、ライフスタイル…。さまざまな情報を広くキャッチし、深堀りもする好奇心旺盛なライター・エデイター集団。長年にわたる専門家インタビューなどで知見を深めた正しい情報を提供します。 -------------------------------------------------------------------------- ◆金沢由紀子  エディター/ライター/(株)elena代表取締役。 ◆見学裕己子 (株)elena代表取締役 ライター ◆椿原順子 52歳にして、インスタフォローワー1万人の人気インフルエンサー。モデル、美容家、コスメPR、オーガニックコスメライターもこなす。 ◆北野法子 雑誌「STORY」で長年多くのヘア記事を担当。他にも美容にファッション、あらゆるテーマも持ち前のミーハー魂で好奇心旺盛にチャレンジ。

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