筋肉をつけたい! ダイエットしたい!
そのために運動をがんばっても、なかなか効果が出ない……ということはありませんか。自分の目的のカラダを手に入れるためには、無酸素運動(筋トレ)と有酸素運動のどちらが効果的なのでしょうか。また、どのように取り組めばよいのでしょうか。
実は2つの異なる運動を掛け合わせることで効果はUPするのです。無酸素運動(筋トレ)と有酸素運動の違いや利点を知り、効率的にカラダを変える方法をパーソナル・トレーナーが解説します!
無酸素運動と有酸素運動の違いをあらためて確認!
無酸素運動(筋トレ)とは?
「糖質」をエネルギーの根源とします。「糖質」は短期間の運動で燃えるので、運動開始してから「30分以内の動き」でエネルギーが燃え始め、短時間で強い筋力を使用します。得られたトレーニング効果のキープは約72時間。運動の種類は、一般的に言う「筋トレ」です。筋トレの負荷や回数を増やすことで、容易に強度を上げられるのもメリットです。
有酸素運動とは?
「脂質」をエネルギーの根源とします。脂肪が燃える時には酸素が必要で、運動開始してから「30分経過してからの動き」でやっとエネルギーが燃え始め、中程度の負荷を継続的にかけていく運動です。得られたトレーニング効果のキープは約48時間。運動の種類は、ランニングやサイクリング、水泳などがあります。
無酸素運動 | 有酸素運動 | |
エネルギーの根源 | 糖質 | 脂質 |
エネルギーが燃え始める時間 | 30秒以内の動き | 約30分後から |
運動の種類 | 短時間で強い筋力を使用する | 中程度の負荷が継続的にかかりつづける |
筋トレ | ランニング、サイクリング、水泳、ヨガなど | |
得られたトレーニング効果のキープ | 約72時間 | 約48時間 |
体の順応と強度 | 筋トレの負荷や回数を増やすことで容易に強度を上げられる | 1時間走ることにカラダが順応すると走っただけでは痩せにくいカラダになる。強度は高めづらい。 |
無酸素運動(筋トレ)と有酸素運動の、組み合わせ方法や順番は?
脂肪燃焼効率の軍配は?
脂肪を燃焼させる「効率」をみると、無酸素運動(筋トレ)に軍配!
「筋トレ」で大きな筋肉を鍛えると代謝がUPし、日常生活でも燃えやすいカラダになります。有酸素運動ではそこまで筋肉を大きくするのは正直難しいのです。なぜなら筋肉を育てるためには、負荷を大きくする必要があるからです。筋トレ(ウェイト・トレーニング)では、より重たい負荷にしたり、回数を増やすことが容易で筋肉をより大きく育てることができます。美しいカラダには絶対的に筋量が必要となります。
一方、有酸素運動では、1時間走ることにカラダが順応すると、走っただけでは痩せにくいカラダになってしまいます。距離や時間を増やし続けていくことは容易ではないので、重さや回数程、明確に負荷を表現しづらいのです。
ダイエットに最適な順番は?
痩せたい人や、体脂肪をおとしたい場合は、
筋トレに集中→筋トレ+有酸素の順番が効果的です。(1日ではなく、トレーニング期間でみた場合です)
初心者はまず筋トレを先行させ、代謝の良いカラダを作ることが先決です。日常生活でも燃えるカラダをつくり、その後有酸素運動を追加(掛け合わせる)ことで脂肪燃焼効率が更にUPします。
筋トレをこなす体力がない人は?
筋トレと有酸素運動を同時進行で行う。
筋トレを一日に数種目こなす体力が無い人は、有酸素運動で筋トレをこなすための基礎体力をつけつつ、筋トレに取り組んでいきましょう。
また、女性は筋トレをすることで、ムキムキでゴツくなりすぎることを心配される方がいますが、女性がムキムキになるのはかなり難しいので、安心して筋トレに励んでも大丈夫です。
筋トレ効率UPのウォームアップは?
有酸素運動→筋トレの順番で行う。(1日のトレーニングの中で)
筋トレの前にウォームアップとして有酸素運動を取り入れて、筋肉群の血流を増加させて筋トレ効率UPの準備運動をしましょう。
但し、有酸素運動で追い込みすぎると、肝心の筋トレに支障が出てしまうので注意が必要です。
休息日に最適。筋トレのアクティブレスト
筋トレ→有酸素の順番で行う。(1日の中で)
筋トレ直後に有酸素を取り入れることで、血流をよくし、疲労物質を効率的に排出させることができます。
1週間の筋トレスケジュールに、数日有酸素運動を組み込む。
筋トレは本来毎日やっても問題ありません。(但し部位は変える必要あります)
筋トレ後2〜3日は、疲労や筋肉の微細な損傷によって筋力が低下します。ここでしっかりと休養をとることで、筋肉は筋トレ前よりも肥大するのです。休養を十分にとらずに更に負荷を与えてしまうとオーバーワークとなってしまい、むしろ筋肉が痩せてしまう可能性があるので注意が必要となります。
毎日筋トレを行うと飽きてしまったり、カラダの回復が追いつかなくて辛いと感じる人は、腸回復期のアクティブレストとして、週に1~2回の有酸素運動を取り入れるのも良いでしょう。あくまでもリフレッシュすることが目的なので、追い込みすぎは禁物です。
筋肥大に有酸素運動はしない方がいい?
有酸素運動は取り入れても大丈夫ですが、筋トレをメインで行い、有酸素運動は補助的に取り入れた方が良いでしょう。力強さや瞬発力を生み出す速筋繊維(速筋)は、糖質をエネルギー源とする筋トレで大きくなります。
持続的なパワーを生む遅筋繊維(遅筋)は、逆に有酸素運動で鍛えられます。いわゆるボディビルダーのような、見た目の筋肥大を目的とする場合は「筋トレ」が効果的ですが、脂肪を焼いて筋肉のカットを出したい人は、有酸素運動を補助的に取り入れていきましょう。逆に有酸素運動をやりすぎると、速筋の肥大を阻害する可能性があるからバランスが大切です。
有酸素運動で生活の質は上がる?
有酸素運動は生活の質を上げるには有効です。
しかし、大きな筋肉の発達として考えた場合の効率は下がります。有酸素運動は骨格筋(骨格に沿って付いている筋肉)を鍛えるには非常に良いのですが、いわゆる代謝UPを見込めるような大きな筋肉の発達としては効率がよくありません。
とは言え、何も運動をしないより、「0よりは1」の方が良いに決まっているので、有酸素運動は「自分の体重を動かす」運動と考えて積極的に生活に取り入れていきましょう。
重力に逆らうものは、全て「トレーニング!!」と言えるのです。
身近な有酸素運動のメニュー
- ウォーキング
- ランニング
- サイクリング
- 水泳
サイクリングに関しては、脂肪燃焼度ではウォーキングやランニングには劣りますが、最大筋力やパワーを落とすことなく、心肺能力や持久力を高めたい人には向いているスポーツです。また他にもサッカー、テニス、バスケットボール等、趣味を楽しみつつ有酸素運動ができる種目は多々あるので、自分に合った方法で運動を取り入れることをオススメします。
METs(メッツ)は運動強度の単位で、安静時を「1」とした時と比較して、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したものです。自分の現状の筋力や持久力に合わせて、下記のリンクを参考にチョイスしてみてください。
ウォーキング(ゆっくり) | 3.5METs |
サイクリング(ゆっくり 8.9km/h未満) | 3.5METs |
ウォーキング(早歩き) | 5.0METs |
ランニング | 7.0METs |
サイクリング(19.3-22.4km/h) | 8.0METs |
サイクリング(22.5-25.6km/h) | 10.0METs |
なわとび | 12.0METs |
参考資料 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf
ダイエット目的の人には、ウォーキングやランニングがオススメです。サイクリングは脚で「押す」動作がメインとなりますが、ランニングやウォーキングは全身運動なので、脂肪燃焼が高いからです。
更にウォーキングやランニングで燃焼をUPするコツは、
・足の歩幅大きく
・腕も大きく振る
・太ももや脚の付け根(大きな筋肉がある部位)を意識し付け根から足を出す
・母指球で地面をけり出す
などを意識すると、より効果を感じることができるでしょう。
ジムで行う有酸素運動メニュー
ジムにあるランニングマシンやバイクを使う以外にも、ジムで提供されている有酸素運動が行えるマシーンはたくさんあります。
サーキットトレーニング
筋トレをメインに、有酸素運動をアクティブレストの位置づけで間に入れつつ、とぎれなくトレーニングを行うサーキットトレーニングです。脂肪燃焼だけでなく、持久力や心肺機能の向上にも繋がります。
パーソナル・トレーニングジム トータルワークアウトの3,450種類以上あるトレーニングメニューの中でも、最高強度の部類に属する「Spartan330」をベースにしたサーキットトレーニングについては、以下の記事をご覧ください。
心肺機能向上トレーニング
V.O.(ヴォリュームオブオキシゲン)はAT(アネロビックスレッシュホールド)と呼ばれる最高心拍数85%の時を狙う、持久的なトレーニングです。
ATまでの心拍数の上げ下げを繰り返し、脂肪燃焼効率を促進することは勿論、極限状態での動きもコントロールできる能力が向上し、ともにパワーの持続性を得ることができます。一部のトレーニングはアスリート向けのかなり精度の高いものですが、多くのトレーニングは一般の方が筋トレに最低2~3ヶ月取組み、カラダを作った後に実施することで脂肪燃焼効率を高めるために効果的です。心肺機能だけでなく、神経系に働きかけることで「極限状態でも使える筋肉」を獲得する効果も見込むことができるのです。
筋トレも有酸素運動も、目的によってバランスよく&効率的に取り入れるのがポイント!
目的ごとの無酸素運動(筋トレ)を底上げするためには、有酸素運動も掛け合わせると効率UPできます。また、有酸素運動がリフレッシュになるという人も多いのです。自分の目的やライフスタイルに合った形で有酸素運動を取り入れて、筋トレや生活の質向上に役立てましょう。
まとめ
- ダイエットする人は 筋トレ優先。筋肉がついたら筋トレ+有酸素
- 筋トレをする体力が無い人はまず有酸素で体力をつける!
- 筋トレのウォームアップや、アクティブレストに有酸素は効果的(追い込みすぎない程度で)
- 筋肥大の人は有酸素で追い込みすぎないように!
- 有酸素は生活の質をあげるためにも有効
自分に最適な有酸素運動の取り入れ方を的確にアドバイスして欲しい人や、目的に向けてとにかく効率(成果)を重視したい人は、パーソナル・トレーニングを視野にいれることをオススメします。パーソナルトレーニングは、一人ひとりの目的に沿ったトレーニングメニューを組むことで、最短で最大の結果を確立できるのが最大がメリットです。
文/北野法子
ライター 雑誌「STORY」で長年多くのヘア記事を担当。他にも美容にファッション、あらゆるテーマも持ち前のミーハー魂で好奇心旺盛にチャレンジ。STORYwebではホテル旅やクリニック体験など、その行動力を活かした体当たりレポートも好評。第10回JAL海外生活エッセイコンテスト一般の部で「優秀賞」取得。