皆さんはウェルネスという言葉を知っていますか?
恐らく耳にしたことがある人は多いと思いますが、明確な答えを持っている人は少ないかもしれません。
単なる身体的な健康という認識とは違い、幅広く捉えられるのがウェルネスです。
昨今の「健康」に対する考え方の変化を交えてすっかり当然のように使われることの多くなったけれど、漠然としたイメージの強い「ウェルネス」という言葉について定義を含めて紐解いていきたいと思います。
ウェルネスの定義と考え方とは?
ウェルネスとは「well」と病気を意味する「illness」が組み合わされて使われた言葉であると言われています。
また、広辞苑には「心身ともに良好な状態」という記載があるほか、1961年、アメリカのハルバート・ダン医師が提唱し始めた「よりよく生きようとする生活態度」が定義だとされています。
つまり、ウェルネスとは肉体的、精神的、社会的に満たされていることを目的に積極的な行動を取っている状態を示すのだと考えられます。
最近、ウェルネスには7種類の分類ができるという考え方があります。それについて少し触れてみましょう。
❶感情のウェルネス
ストレスを上手にリリースすることは未病と健康状態を保つ上で非常に重要な要素を担っていると考えられます。感情のコントロールが上手な人ほど、脳卒中や心臓病のリスクが低いとも言われています。
❷知性/認知能力のウェルネス
興味のある分野で、自らの知的好奇心をくすぐるような活動をすること。映画・旅行・執筆活動・授業を受けること・パズルなども含まれます。これらは、精神状態・口内環境・食事内容などの生活習慣に影響を与えると言われています。
❸身体のウェルネス
「病気にならない予防」「病気の早期発見」「病気を悪化させない」この3つを守ることで、自立した生活を送ることができます。栄養面や睡眠の質を意識し、定期的な医療機関の受診や健康診断を行うことがそれらに当てはまります
❹職業上のウェルネス
人は仕事を通して社会に貢献することで、人生の目的や意義を見出し、充実感を得ることができます。これは「人生の満足度」にも大きく影響し、その満足度が大きいほど、長生きするとも言われています。
❺社会的なウェルネス
孤立することなく、人との交流や誰かに会うことのできる場所に行くことで、精神的にも良い刺激となり、生活の質が向上します。社会的に孤立してしまうことは、血糖値や糖尿病のリスクを高めると言われています。
❻精神のウェルネス
自分と向き合うことのできる瞑想やヨガ・太極拳などがこれに当てはまります。とくにヨガや太極拳は精神的な安定にとどまらず、高血圧や転倒の予防、認知能力の改善などにも効果があると医学的に証明されています。
❼環境のウェルネス
ここでの環境は、生活環境・職場環境・社会的環境など、自分を取り巻くすべての環境を指します。ストレスのかからない状態は、うつ病や高血圧のリスクを下げると言われています。しかし、ストレスを避けるために社会から孤立してしまうと、他の疾患を引き起こしかねないため、両者のバランスが重要です。
これらは健康で長生きするためのウェルネスの指標と言われており、新しい健康の概念として受け入れられつつあります。
実際に、個々人だけでなく各企業もウェルネスをもとにした考え方に注目しており、それがビジネスや利益につながると考えているところも少なくありません。
これらは身体的(カラダ)と精神的(ココロ)、そして社会的ウェルネスという3分類に分けられると考えられています。
これらに分類されたすべてが良好な状態であると、よりわかりやすいのではないでしょうか?
頻出する社会的ウェルネスという言葉の意味は?
身体(カラダ)が良好、精神(ココロ)が良好な状態というのはイメージしやすいと思いますが、「社会的に健康な状態」とは一体どのような意味を持つのでしょうか?
人間は社会活動を行い、社会とのつながりや関わりを適度にもつことで、精神的なバランスを測っていると考えられています。そのため、孤立することなく交流をもつことが良い刺激となり、QOLが向上するとされています。脳への刺激は心身の健康を維持する上で大切な要素。また、
「孤立は多くの場合、孤独感や不安、ときには抑うつ状態などのマイナスの影響をもたらします」と、米マサチューセッツ大学老年学部のジェフリー バー教授は言います。さらに、「孤立により、精神的に追い込まれるだけでなく、身体的にも悪影響があらわれます。心臓病や脳卒中、認知症のリスクが30%上昇するという調査報告もあります」。とのこと。
社会的活動がウェルネスに大きく関わっていることが明らかなのです。
では健康とは?
考え方の変化を時代背景とともに解説します。
「健康」の定義とは?
WHO(世界保健機関。以下、「WHO」 という。)が提唱した「健康とは単に病気で ない、虚弱でないというのみならず、身体 的、精神的そして社会的に完全に良好な状態を指す」という健康の定義から出発しています。
私たちの住む日本では健康の定義がどう変わってきたのでしょうか?厚生労働省のまとめたものによると明治時代から21世紀初頭までの日本における健康をめぐる施策の変遷は3つに分類されると考えられています。
すなわち、衛生水準の向上が中心であった時代、積極的な健康づくり施策が始まった時代、健康づくり対策が本格化した時代です。
衛生水準の向上が適った後、2000年ごろまでに平均寿命の延びや生活習慣が健康に関わってくるとわかってからは健康づくり対策が本格化した時代へと突入します。
全ての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある 社会とするために、2000(平成12)年、生活習慣病やその原因となる生活習慣の改善等 に関する課題について目標等を選定し、国民が主体的に取り組める新たな健康づくり運動 として「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が策定されたのです。
今、ウェルネスが求められる理由とは?
身体が良好であれば健康である、健康であれば長寿が叶うという時代を経て、生活の質、健康の質、そして最終的には人生の質を問う時代がやってきました。その結果、さまざまなウェルネスが良好であってこそ、人生の質が向上すると考えられるようになったのです。
それは日本における時代背景の変化が大きく作用すると考えられます。前述した通り、厚生労働省が国民の健康づくり施策が本格化する中で、単なる身体的健康のみならず人生のQOL向上や早くからの生活習慣病予防、未病の考え方が主流となってきたからではないでしょうか?
人生のQOL向上の考え方には、働きすぎなどの理由でココロの不調を訴える人の増加も大きく関連します。
昨今、生活の質という概念が私たち日本人に広く浸透してきました。それは見た目を変えるという「ダイエット」、「肉体改造ブーム」=痩せる、カラダ(フォルム)を変えるためにジムに通うという目的意識が
カラダを変えることは単なるひとつの手段になり、変えた身体でどのようなライフスタイルを送るかという生活の質が問われるようになりました。
また、ここ数年のコロナ禍によるパンデミックがもたらした意識の変化はココロの健康へと関心が集まる結果となりました。心身の健康に対する不安や問題が増加した反面、未病や免疫力UPなどをフォーカスするようになりました。
さらにパンデミックや、少子化、人生100年といわれる時代に突入し、孤立を感じる人が増えたのも人々が社会的ウェルネスに注目が集まる結果をもたらしました。
具体的対策が明日のあなたを大きく変えます
そういった意識変化によって、注目を集めるウェルネス。
私たちは身体的(カラダ)・精神的(ココロ)・社会的ウェルネスを手に入れるためには具体的に何をすれば良いのでしょうか?
身体的(カラダ)ウェルネスのために
まずは運動。厚生労働省の健康21にも
「身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、また、身体活動や運動が、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている。」とあります。
私たちは積極的に運動を日常生活に取り入れる必要があるのです。
最も簡単な運動のひとつ
- 歩数を増やす
- 積極的に階段を上る
- さらにフィットネスや筋トレを定期的に行う
ことで身体的ウェルネスは叶えられると考えられます。
精神的(ココロ)ウェルネスのために
精神をヘルシーに保つために注目されているのがマインドフルネスと睡眠。
マインドフルネスを行うことは以下の結果をもたらすそう。
「人間の脳は常に動き続けています。意識して考えなければいけないことだけでなく、感情・不安・記憶・未来・どうでも良いことなど、実にさまざまなものでいっぱいになっています。そうした雑念を取り払い無心になることで、ストレスを取り除いたりするような精神面での効果に期待できる」
脳を休ませることでストレスから解放され精神的ウェルネスを得られやすくなるはず。
睡眠の質の向上
睡眠不足や不眠は昼間の眠気や全身倦怠感、集中力低下、
不安・イライラ、抑うつ感を生じ、さらに、肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病や癌、認知症の誘因や増悪因子となりえます。
「眠れているかどうか」はメンタルヘルス対策の上では予防という観点からも重要であり、本人や周囲が最も気付きやすい注意サインです。すなわち良質の睡眠がうつ病の予防や、健康の維持、QOL(生活の質)の向上を通じて、健康寿命に良い影響を及ぼすと考えられています。
寝る前にデジタルだけでなく情報そのものをインプットしないのも質の向上に。
さらなる心身のウェルネスには
自分をとりまく周りの環境には目がいきやすいものです。
自分自身を見つめることを習慣化し、変化にきづくことでカラダもココロもケア・チューンナップしやすいもの。むしろ、気づかないとケアできないのです。ただし、日常の中で自分をみつめなおす、客観視するのはなかなか難しいもの。
そんな人は非日常の中に身を置き、自分に対峙する時間をもつことが多くの気づきとなり、明日からの活力になるのです。そういった背景でリトリートに注目が集まり、大きなうねりとなりつつあります。
企業・国の後押しが社会的ウェルネスも叶えます
心身の不調が1度発生すると治療には時間もお金もかかります。そのため、未然に防ぐ・気づくことのメリットは個人にも、企業にも、さらには産業・経済、社会にも大きなメリットとなるのです。
企業としてのウェルネス経営を広め、従業員全体の健康を司ることはもちろん、それを後押しする国としての政策も期待されます。
自らがウェルネスをコントロールする時代の到来です
ウェルネスという概念が徐々に普及しつつあるのはとても良いことではないでしょうか。ただし、待っているだけで自然とウェルネスに関する対処法が誰にでも与えられるわけではありません。
待っているだけでなく自らの状態に「気づく」こと、
さらに正しい選択をするための「知識」を得ることが重要なのです。
そのためには能動的に行動する必要があるのではないでしょうか。
単なるフィットネスを行うだけでなく、ウェルネス全般の健康を提案してくれるジムを探すことも得策です。究極はライフスタイルをデザインできるトレーナーと二人三脚でウェルネスに取り組むこと。
明日からの自分を変えるのはあなたの能動的なウェルネス行動です!
米国シアトルで誕生し2001年に日本へ拠点を移して以来、パーソナル・トレーニングによって多くのカラダを変えてきたトータル・ワークアウトでは、カラダが変わることはもちろん、それによって人生をより豊かに、充実したものにしていただくことを使命に、一人ひとりをサポートしています。
パンデミックで健康の重要性や意識がより一層高いレベルへ向かう中、トータル・ワークアウトは「アクティブ・ウェルネス」というあたらしいコンセプトを掲げ、ウェルネスにまつわるより幅広いサービスを提供しています。
トータル・ワークアウトのアクティブ・ウェルネスをチェックする金沢由紀子 エディター・ライター
(株)elena代表取締役。数々の女性誌でファッション、美容、インタビューなどを担当し、人生100年時代のウェルビーイングを追求するelenaを起業。記事制作、PR、モノ・コトにまつわる企画・立案などを担当する。