筋トレの効果を高めるため、準備運動や疲労回復のために行われるストレッチ。
目的によって、ストレッチのタイミングや、やり方が変わるのをご存知でしょうか。
この記事では筋トレにストレッチを取り入れるメリットや全身をストレッチする17種類のメニューなどを紹介します。
ストレッチをうまく取り入れることで筋トレの効率を高め、怪我や筋肉痛の予防・回復を促進できます。
この記事を最後まで読んで、正しいストレッチをあなたの筋トレに取り入れてください。
筋トレにストレッチを取り入れるメリット

なぜ筋トレの前後にストレッチをするとよいのでしょう?
筋トレにストレッチを取り入れるメリットは、筋肉の柔軟性向上による怪我の防止や関節可動域の拡大、クールダウンや疲労回復の促進などさまざまです。
トレーニング前?後? いつやればいいのか、何をすればいいのか?目的に応じて適切なストレッチができるようになりましょう。
筋トレの前と後どっちにストレッチすればいい?
ストレッチは大きく静的ストレッチと動的ストレッチに分かれます。
静的ストレッチは疲労回復を促したり、高まった神経を鎮め副交感神経を優位にする効果があります。カラダを休ませる副交感神経が優位になると一時的に筋力を低下させることがあるので、ウォーミングアップにはあまり向いていません。
一方で動的ストレッチは動きながら行うストレッチです。交感神経を優位にして血流増加・体温上昇させる効果があり、ウォーミングアップに最適です。
【筋トレ前】血流アップ・怪我防止
筋トレ前に動的ストレッチで筋肉内の温度を上げ、可動域を広げておくと怪我の防止につながります。
ストレッチ以外でも、
これから行う種目を軽めの重量で可動域を大きく行うことで同様の効果が得られます。
たとえばベンチプレスをするなら、軽めのダンベルで可動域を大きく使って、ダンベルベンチプレスを行いましょう。カラダや筋肉が温まってきたら、本メニューに入ります。
【筋トレ前】柔軟性・関節可動域の向上
運動前に動的ストレッチをすることで、筋・関節・神経系を刺激し関節可動域を広げる、腿裏やカラダの側面の柔軟性を上げると、正しいフォームで正しいトレーニングが出来るため、筋トレをより効果的に行うことができ、成果につながりやすくなります。
【筋トレ後】クールダウン
筋トレによって、カラダを活発に働かせる交感神経が活発になります。筋トレ後はカラダを休ませる必要があるため、副交感神経を優位にしなければなりません。
そのため、筋トレ後のクールダウンには、静的ストレッチが有効です。筋トレ後は静的ストレッチを行って、筋肉を休ませましょう。
【筋トレ後】疲労回復
トレーニング後は負担のかかった筋肉に疲労物質が多く含まれる血液が滞留しています。筋トレ後に静的ストレッチを行い、酸素を多く含んだ新鮮な血液を送り込むことで、疲労物質取り払われ、疲労感やむくみが軽減しやすくなります。
なお、筋肉を成長させるためには、筋肉に負荷をかけた後に休養を与えることが重要です。筋トレによって微細に損傷した筋繊維は、2〜3日かけて回復するときに、以前より肥大します。これが「超回復」です。筋トレ当日から翌日にかけては回復・休養を心がけることで筋トレ効率をアップしましょう。
超回復について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
【筋トレしない日も】肩こり腰痛の予防・改善
筋トレ前後でなくても、ストレッチは日常的に行うことで、関節可動域やカラダの柔軟性が維持・改善され正しいトレーニング、効率的なトレーニングに結びつきます。
また、カラダの柔軟性が高まり、関節可動域が申し分ないと、骨盤の間違った傾きが改善され腰痛や肩こりが改善されます。ストレッチによる血流アップも、コリや冷え、浮腫みの改善に効果的です。
筋トレにストレッチを取り入れる際の注意点

目的に応じたストレッチをチョイスする
上記で説明した通り、ストレッチには大きく分けて動的ストレッチ・静的ストレッチがあります。
目的に応じたストレッチを行わないと
- 筋トレ前に静的ストレッチをして筋トレ効率がさがってしまう。
- 寝る前に動的ストレッチをして睡眠の質が損なわれた。
といったデメリットになる場合があります。
- 筋トレ前や朝起きて一日をスタートする時には「動的ストレッチ」
- 筋トレ後や寝る前は「静的ストレッチ」
が適しているでしょう。目的に応じた使い分けを間違わないようにしましょう。
無理しない
早くカラダの柔軟性を上げたいからと、無理をして筋を痛めると、トレーニングができなくなり結果的に効果を出す遠回りになってしまいます。
痛みがあるから効果がある、というわけではないので、痛気持ちいいくらいを限度にし、反動をつけず「ゆっくり」「長く」行うことで強度を上げましょう。
呼吸を止めない
ストレッチでも筋トレでも、頑張りすぎると息を止めてしまう人がいますが、呼吸をしてしっかりと血液に酸素を贈ることで効果が高まります。
鼻から吸って、鼻から吐く腹式呼吸を意識しましょう。
ゆっくりした呼吸で集中力を高めましょう。
筋トレ前の動的ストレッチの時は、目を開け、4拍で吸い、4拍で吐く。
吐くときは少し強めに。こうすることで交感神経が優位になりやすくなります。
筋トレ後や寝る前の静的ストレッチでは、副交感神経優位にするため、息を吐くことによりいh式を傾けます。4拍で吸って8拍で吐く。出来る人は12拍で吐くと良いでしょう。
適度な水分摂取
呼吸同様、水分も血液中に酸素や栄養を巡らせるために必要不可欠。ストレッチを行う際は水分補給も心がけましょう。
一気に沢山飲むとお腹がちゃぷちゃぷして気持ちが悪くなることがあるので、こまめな補給を心がけましょう。
こんな人におすすめ。代謝アップのためのストレッチ。

スクワットをするとき、フォームに苦戦したことはありませんか?
腿裏や背中が固いと、大きな筋肉に働きかけ筋肉の成長を促して代謝アップを目指す種目
- スクワット
- ラットプルダウン
- ベンチプレス
といったトレーニングで正しいフォームがとれず、効果を出しづらくなることがあります。
スクワットで腰が丸まる。膝が前にでる。
腿の裏が固くてお尻を後ろにつきだせず、膝が前に出てしまう。
背中から腰回りが硬くて上半身をまっすぐ保つことが出来ない。
こういった不具合があると辛いスクワットを何十回と頑張ったとしても最大の効果が出ません。
ラットプルダウンで肩がすくんでしまう
ラットプルダウンは大きな筋肉「広背筋」に効かせる種目です。
肩甲骨を下げ、胸を張る姿勢で、広背筋を使って重りを引く必要があります。
ところが肩甲骨周りが固く肩甲骨が上がった状態(=肩がすくんだ状態)でラットプルダウンを行うと、背中でなく腕で重りを引くことになり、正しい効果がでないという残念な結果に・・・
ベンチプレスは腰痛がこわい
股関節や肩甲骨周りの関節可動域が不十分だったり、手首足首の柔軟性に欠けると、力の連動がうまくいかず、腰などに負担がかかる場合があります。
高重量を扱う人はなおさら、ストレッチやケアでカラダを整えることを重視しましょう。
高重量トレーニングの際は、パーソナル・トレーナーのサポートを入れると安心です。
すでに痛みがある場合は無理せず医師の指示を仰ぐようにしましょう。
部位別のストレッチメニュー19種目

全身のストレッチメニューをご紹介します。上半身9種目と下半身8種目で全17種目です。痛気持ちいいくらいまで伸ばし、ゆっくり呼吸をしながら30秒を目安に行ってください。
筋肉痛がひどいときは、あまり無理をしないようにしましょう。
上半身のストレッチ9種目
上半身のストレッチには以下9種目があります。
- 腹直筋
- 腹斜筋
- 脊柱起立筋
- 広背筋
- 大胸筋
- 三角筋
- 上腕二頭筋
- 上腕三頭筋
- 前腕屈筋群・伸筋群
それぞれのストレッチの方法についてみていきましょう。
※ストレッチの秒数等についてはその人の骨格や体調などによって異なります。以下で紹介する内容は参考値のため、自分に最適な方法を知りたい方はパーソナル・トレーニングを利用するとよいでしょう。
腹直筋
腹直筋はいわゆるシックスパックを形成する筋肉。お腹を引き締めるために重要です。
- うつ伏せで寝る。
- 手をお腹の横あたりに置き、手で地面を押しながら背中を反らせる。
- お腹が伸びるところで30秒キープ。
腹斜筋
腹斜筋は脇腹にある筋肉。くびれを作るために重要です。
- 伸ばす側の脚をあぐらのように外旋、反対側の脚を女の子座りのように内旋して座る。
- 伸ばす側の手首を反対の手でつかみ、斜め上に引っ張る。
- 脇腹が伸びるところで30秒キープ。
脊柱起立筋
脊柱起立筋は腰から背骨を通って首までつながる筋肉。しなやかな背中を作るために重要です。
- 体育座りの状態から、後ろにでんぐり返しするように転がる。
- 顔の上に腰がくる位置で止めて背中を丸める。
- 背中が伸びるところで30秒キープ。
広背筋
広背筋は肩甲骨の下にある筋肉で、背骨から上腕につきます。逆三角形の上半身を作るために重要です。
- 伸ばす側の手首を反対の手でつかみ、斜め上に引っ張る。(立っていても座っていてもOK)
- 肩甲骨の下・横が伸びるところで30秒キープ。
大胸筋
大胸筋は胸の筋肉。たくましい胸板やバストアップに重要です。
- 立って、伸ばす側の肘を肩の高さに上げる。
- 肘の内側を壁に当てる。
- カラダを反対側に向けながら肩を壁に押すイメージ。
- 胸が伸びるところで30秒キープ。
三角筋
三角筋は肩の筋肉です。肩幅を広げたり、しなやかな肩を作ったりするのに重要です。
- 伸ばす側の腕を、反対側の肩の前に伸ばす。
- 反対側の前腕で、伸ばす側の肘をカラダに引きつける。
- 肩が伸びるところで30秒キープ。
上腕二頭筋
上腕二頭筋は力こぶを作る筋肉です。
- 伸ばす腕を、手のひらを上にして外に伸ばす。
- 肘を上に向けたまま、手首だけを下に向ける。
- そのまま腕を後ろに。
- 腕が伸びるところで30秒キープ。
上腕三頭筋
上腕三頭筋は力こぶの反対側にある二の腕の筋肉。太い腕を作ったり、二の腕を引き締めたりするのに重要です。
- 伸ばす側の肘を肩の真上に上げる。
- 反対側の手で伸ばす側の手首をつかむ。
- 手首を肩に向かって押す。
- 腕が伸びるところで30秒キープ。
前腕屈筋群・伸筋群
前腕屈筋群・伸筋群は、腕の筋や血管を浮き出させるのに重要です。
- 伸ばす側の腕を、手のひらを下にして前に出して肘を伸ばす。
- 屈筋群を伸ばすときは手首を反らし、伸筋群を伸ばすときは手首を曲げる。
- 反対側の手で手を握り、カラダに向かって曲げる。
- 前腕が伸びるところで30秒キープ。

下半身のストレッチ8種目
下半身のストレッチには以下8種目があります。
- ヒラメ筋
- 腓腹筋
- 大腿四頭筋
- ハムストリングス
- 内転筋
- 大殿筋
- 股関節外旋筋群
- 腸腰筋
それぞれのストレッチの方法についてみていきましょう。
※ストレッチの秒数等についてはその人の骨格や体調などによって異なります。以下で紹介する内容は参考値のため、自分に最適な方法を知りたい方はパーソナル・トレーニングを利用するとよいでしょう。
ヒラメ筋
ヒラメ筋はふくらはぎの奥にある筋肉。ふくらはぎにボリュームを出すのに重要です。
- 伸ばす側の脚の膝を立てて、反対側の脚を曲げて座る。
- 伸ばす側の脚に体重をかけて、カラダを前に倒す。(足首をつま先の方向に曲げる)
- ふくらはぎが伸びるところで30秒キープ。
腓腹筋
腓腹筋はふくらはぎの表側にある筋肉。ふくらはぎにボリュームを出したり、引き締めたりするのに重要です。
- 腕立て伏せの体勢になる。
- 反対側の足首を、伸ばす側の足首の上に乗せる。
- カラダを後ろに運び、膝を伸ばしたまま足首をつま先の方向に曲げる。
- ふくらはぎが伸びるところで30秒キープ。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は太ももの前の筋肉。太もも痩せやボリュームを出すのに重要です。
- 脚を伸ばして座り、伸ばす側の膝を曲げる。足首は太ももの外側に。
- 上半身を後ろに倒す。
- 太ももの前が伸びるところで30秒キープ。
ハムストリングス
ハムストリングスは太ももの裏の筋肉。太もも痩せやボリュームを出すのに重要です。
- 脚を伸ばした状態で座り、反対側の脚はあぐらをかくように曲げる。
- 上半身を骨盤から前に倒す。
- 太ももの裏が伸びるところで30秒キープ。
内転筋
内転筋は太ももの内側の筋肉。内もも痩せに重要です。
- 座って、カラダの前で足裏を合わせる。
- 手で膝が上がらないように押さえながら、上半身を骨盤から前に倒す。
- 内ももが伸びるところで30秒キープ。
大殿筋
大殿筋はお尻の筋肉。ヒップアップに重要です。
- 仰向けに寝る。
- 伸ばす側の脚の膝を両手で抱えながら、みぞおちに持ってくる。
- お尻が伸びるところで30秒キープ。
股関節外旋筋群
股関節外旋筋群はお尻の中の方にある筋肉です。正しい姿勢の維持に重要です。
- 手を後ろについて座る。
- 伸ばす側の膝を内側に回して、足を外に出す。
- 反対側の足を、伸ばす方の膝に乗せて下に押す。
- お尻の外側が伸びるところで30秒キープ。
腸腰筋
腸腰筋は大腿骨から背骨につくインナーマッスル。正しい姿勢の維持に重要です。
- 脚を前後に開いて、後ろ脚の膝を床につく。(伸ばす側が後ろ)
- 伸ばす側の手で腰をうしろから押し、カラダを前に運ぶ。
- 股関節の前側が伸びるところで30秒キープ。
忘れがちな末端のストレッチ2種

手首、足首そして足裏といった末端のストレッチも忘れずにおこなうことで怪我を防ぐだけでなく、筋トレ効果の底上げにつながります。
手首・足首
チューブを使うと適度な負荷がかかりストレッチしやすいです。
手前、向こうに ゆっくり優しく伸ばしましょう。
足首が固いとしっかりと踏ん張ることが出来ず、スクワットをしてもカカトやつま先が浮きやすくなってしまいます。
足の指
見逃しがちなのが足の指です。
足の指をしっかり広げられない、丸まっている といった状態だと、足裏の「母指球」でしっかり地面をとらえることが出来ず正しい力の連動を伴うトレーニングが出来ません。
足の指の間に手の指を入れ、手と足で握手するように足の指をほぐす。
足首同様、チューブを使用して指を手前・向こうにしっかり伸ばす。
といった基本的な動きを忘れずに行いましょう。
ストレッチをして筋トレの効果を高めよう
トレーニング前には動的ストレッチ、トレーニング後や疲労回復には静的ストレッチがおすすめです。
トレーニング前のウォーミングアップは、これから行う種目を軽めの重量で可動域を大きく行うだけでも良いでしょう。
筋トレ後に静的ストレッチを行うことで、副交感神経を優位にしてカラダ身体を休養モードにさせられます。
また、できるだけ毎日静的ストレッチをすることで、筋肉の柔軟性と関節可動域を維持・拡大しましょう。
ストレッチのメリット
- 筋トレ前のウォームアップ
- 筋トレ後のクールダウン
- 筋肉を効率よく成長させるためのベースづくり
- 日々のカラダのメンテナンス
オールマイティーなストレッチを味方につけて、カッコイイカラダづくり、ダイエット、生活の質向上などなど、自分の目的のカラダを手に入れる近道にしましょう!
