筋トレをしたあと、多くの人が経験する筋肉痛。
筋肉痛が長引いて次の筋トレができない、逆に筋肉痛にならない場合「追い込みが足りなかった」と不安になるなど、筋肉痛との付き合い方は難しいですよね。
- 筋肉痛の時に、続けてトレーニングしていいの?
- そもそも筋肉痛がないと効果がないのか?
- 筋肉痛の予防法や、早く回復させる方法を知りたい
この記事ではこのような悩みを持つ方に向けて、筋肉痛が発生するメカニズムや予防・回復法を解説します。
結論から言って
- 筋肉痛がある部位は2日間~3日間の休養が必要
- 筋肉痛があっても、別の部位であれば翌日でも鍛えられる
ものです。筋肉痛とうまく付き合い、筋トレの効率を高める方法を具体的に解説します。
なぜ筋トレをすると筋肉痛になるの?

筋トレで筋肉が成長するしくみは、以下の3つが考えられています。
- 機械的張力による化学反応
- 代謝ストレスに対する応答
- 筋損傷後の超回復
筋肉に十分な負荷をかけることでこれら3つの反応がおこり、代謝ストレスや筋損傷により筋肉痛になります。
筋トレしても筋肉痛が起きないと意味がない?

筋肉痛になるまで追い込まないと筋トレの意味がないのでしょうか?
筋肉痛にならなくても、適切な負荷をかけていればトレーニング効果はあります。筋肉痛=効果がある、というわけではありません。
しかし、筋肉を肥大させるには、筋繊維が微細に損傷する程度の負荷が必要です。筋肉痛の1つの要因も、軽微な損傷であると考えられています。
また適度な筋肉痛になることで十分に追い込めた感覚を得られるため、モチベーションにつながります。一方で、筋肉痛が強すぎて3日も4日も続くような場合は、オーバーワークの可能性があるので注意が必要です。肉離れなどのケガを防ぐためにも筋トレの強度を調節し筋肉痛の回復度を観察しましょう。
「超回復」のメカニズム
筋肉成長のしくみで、主流に考えられてきたのが超回復です。超回復とは、筋トレによって筋繊維に微細な損傷が起こり、48時間後~72時間かけて回復する時に以前よりも肥大する現象のことをいいます。
そのため、筋肉を肥大させるには、筋繊維が微細に損傷する程度の負荷が必要です。筋肉痛の1つの要因も、軽微な損傷であると考えられています。
適切な負荷とは?
筋トレの適切な負荷は、目的によって違います。
筋トレの負荷はRM(レペティションマキシマム)という考え方を使って設定します。
RMは、その重量で反復できる最大回数のことです。1回しか上げられない重量を1RMといいます。

以下、目的ごとの重量設定と回数の目安です。セット数はすべて3セットが基本です。
無理せず、可能な限りトレーナーを補助を入れることをお勧めします。
新発力・パワー向上
・重量 1RMに近い
・回数 1〜3回
筋力向上・筋肥大
・重量 10RM前後
・回数 10〜12回
持久力向上
・重量 15~20RM
・回数 20〜22回
※トレーニング回数や負荷についてはその人の骨格や体調などによって異なります。上記回数は参考値のため、自分に最適な回数や負荷を知りたい方はパーソナル・トレーニングを利用するとよいでしょう。
筋トレの間に2〜3日の休養が必要なため、頻度は週2〜3回がベストです。
違う部位を鍛える場合は毎日行っても大丈夫です。
上級者になるにつれ種目数やセット数が増えると、回復にかかる時間が増えます。その場合は週1〜2回が最適です。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
筋肉痛がないとダイエットは成功しない?
「筋肉痛の時に筋トレして追い込んだ方がダイエットの効果がある?」という疑問をよく耳にします。
筋トレによる筋肉痛がひどければダイエットが成功する、というわけではありませんが、健康的に痩せるためには、筋トレで大きな筋肉を鍛えて代謝を上げる方法が成果を出す近道です。大きな筋肉を肥大させるために必要な負荷で刺激すると筋肉痛を発症する可能性は大。
お尻回りの筋肉痛は立つ、座る、歩くといった際に辛いかもしれませんが…腹筋や二の腕といった気になる部位ばかり追い込むよりも、太ももやお尻といった大きな筋肉を優先的に鍛えることで代謝が上がり、結果的にお腹や腕といった気になる部位に効果が表れやすくなり、血流が良くなることが顔がスッキリします。
筋肉痛の時に筋トレするのがNGな理由

筋肉痛の時に筋トレした方が効果が出る、という人もいますが、筋トレの翌日筋肉痛があっても、また筋トレしてよいのでしょうか?休んだほうがいいのでしょうか?
結論から言って筋肉痛の時に筋トレはNG。
筋肉痛がある日に、筋トレがある部位の筋トレがおすすめできない理由は以下の通りです。
- 筋肉の成長を妨げる
- 全力を出せない
- 怪我の予防
ただし、疲労していない筋肉は鍛えても大丈夫です。たとえば脚が筋肉痛でも、上半身の筋肉なら鍛えられます。
筋肉の成長を妨げる
先述のとおり、筋トレ後は筋肉でさまざまな化学反応が起こり、回復しながら成長していきます。なので、損傷した筋肉を2日〜3日休ませる間に筋肉が成長します。
そのため筋肉の成長には、筋肉に負荷をかけることと、十分に筋肉を休ませることが必須です。 特に筋肉痛になった場合は、十分な休養をとりケアしないと「オーバーワーク」になり筋肉が痩せてしまうリスクがあります。筋肉痛の時は、筋トレを続けるのではなく中止しましょう。
ただし、疲労していない筋肉は鍛えても大丈夫です。たとえば下半身が筋肉痛でも、上半身の筋肉なら鍛えられます。
全力を出せない
筋肉痛で痛みがある際に無理に筋トレをすると、痛みや、関節可動域の狭まりで、正しいフォームが取れず、全力でトレーニングをすることができません。
するとせっかく頑張っても効率的なトレーニングに繋がらないのです。
怪我の予防
筋肉痛で正しいフォームが取れない、痛みで筋トレに集中できない、万全のコンディションの時のRMとひどい筋肉痛の際のRMには差異が出る、などの理由から怪我のリスクが高まります。
痛みが引かない、疲労感がひどいという場合はトレーニングを控える、休息する、という判断も大切です。
筋肉痛がある時に筋トレを行うためには?

筋肉痛があるときでも、正しい知識のもとであれば、筋トレをすることはできます!
筋肉痛がある時に筋トレを継続するための3つのポイントは
- 筋肉痛のないパーツを鍛える
- 筋肉痛を予防する
- 筋肉痛の回復に力をいれる
筋肉痛のないパーツを鍛える
鍛えた筋肉は2日~3日の休養が必要なため、筋肉痛のある時は同じ部位の筋トレは避けましょう。
筋肉痛に関係なく筋トレを行うには、 部位を分けて筋トレを行いましょう。
初心者なら大きな筋肉を鍛えるための2パターン、中級者なら脚・体幹・肩腕の3分割、上級者なら腹・胸・背中・肩・腕・脚の5分割などです。
このようにパーツを分割すると、あるパーツが筋肉痛でも別のパーツは鍛えられます。また、分割すればするほど、1つの部位に多く負荷を与えられます。ただし、初心者はオーバーワークになってしまう可能性があるので、あまり分割しすぎないようにしましょう。
また、筋肉痛が残っている状態で別の部位を筋トレする場合、は怪我を予防するための対策を考えましょう
。例えば下半身が筋トレの場合、上半身を鍛えることはできますが、立った状態でバーベルを持ち上げると下半身の踏ん張りがいつもより弱くなる場合があります。ベンチに背中を付けて行う種目に変更する、RMや回数の調整を視野に入れる、パーソナルトレーナーの補助を入れるなどの工夫をしましょう。
鍛えるパーツの分割方法は以下を参考にしてみてください。
<初心者の筋トレ一週間メニュー例>
月 A(腿・背中・胸)
火 B(お尻・肩・腕)
水 コア
木 休養orストレッチ
金 A(腿・背中・胸)
土 B(お尻・肩・腕)
日 休養orストレッチ
レベル別の1週間の筋トレメニューについて、詳しくは以下の記事も参考にしてみて下さい。
筋肉痛を予防する
運動不足の人が久しぶりに筋トレをすると筋肉に負担がかかり、筋肉痛になりやすいです。
ウォーキングやランニングと言った有酸素運動、ストレッチで血流を促し血管や筋肉に酸素と栄養を届ける下準備をするとよいでしょう。
回復に力をいれる
筋肉痛を緩和するためには回復をサポートする栄養素や、適切なケアといった対処法を知っているか否かで変わってきます。
筋肉痛の予防と回復に関する詳しい対処法は以下の章で解説します。
休息ないしはアクティブレストを視野にいれる
筋トレで筋肉痛がひどい時は、オーバーワークや怪我の危険を回避するためにも思い切って休息をしましょう。
休息といっても、寝て過ごす、ゴロゴロ…ではなく、筋肉痛が多少あっても、筋トレ以外の軽い有酸素運動(ウォーキングやランニング)や強度の強すぎないヨガ、ストレッチといったアクティブレストで筋トレを軽減しましょう。
筋肉痛の予防と回復方法

筋肉痛の予防と回復には、正しい栄養摂取と休養が重要です。これをすれば筋肉痛を防げるというものはありませんが、筋肉痛を防ぎたい方や早く治す方法を知りたい人は参考にしてください。
栄養素を摂る
筋肉痛の間は、栄養摂取が特に重要です。筋タンパク質の合成を促進して分解を抑制するために、血中アミノ酸濃度を高めましょう。
そのためにはバランスのいい食事に加えて、たんぱく質を多くとりましょう。食べ物で補えないものはサプリを活用して筋トレによる筋肉痛に働きかけましょう。
●タンパク質
筋トレ後すぐ、30分以内にホエイプロテインやBCAA(EAA)で筋肉の成長と回復を促しましょう。
就寝中も血中アミノ酸濃度を高めて回復を底上げする場合は、夜寝る前に、消化吸収の負担が軽い植物性プロテインを飲むことをおすすめします。
●BCAA
運動前や運動中の摂取が一般的なBCAAですが、筋トレ後の摂取でも疲労緩和や回復効果の底上げが期待できます。
●ビタミン
ビタミンの中でも高い抗酸化作用のあるビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは回復のために摂りたい栄養素。
また、ビタミンB1は疲労回復のホルモンとも呼ばれ、疲労回復に重要です。糖質の代謝を助けてエネルギーをつくり出す、神経系や筋肉の機能を正常に保つ、といった働きもあるため エネルギー不足を防いで疲労感を軽減するために摂取しましょう
ストレッチ
筋肉痛を予防するためには筋トレ前にストレッチをして酸素と栄養の循環を良くしておきましょう。筋トレ前には動きながら行う、ややダイナミックな「動的ストレッチ」をしましょう。交感神経を優位にして血流増加・体温上昇させる効果があり、ウォーミングアップに最適怪我の防止にも役立ちます。
筋肉痛の回復を促進するには、筋肉を伸ばした状態で数十秒固定する「静的ストレッチ」です。回復目的だけでなく、寝る前に行うと副交感神経への切り替えをスムーズにするメリットもあるので毎晩行うとメリット大です。
筋肉痛の間は筋肉の可動域が落ちるのでやりすぎは禁物です。心地よいくらいのところで、じっくり20〜30秒ほどキープし、筋肉を「伸ばす・ほぐす」を意識しましょう。
呼吸を止めず、血管や筋肉に存分に酸素を送り込むこともお忘れなく。
マッサージ
筋肉痛の回復にはマッサージも有効です。
マッサージには、血流を促して老廃物の除去を促進してくれる作用が期待できます。
筋肉痛の時には筋繊維に微細な損傷が起きている可能性があるので、ストレッチと同じように、痛くて気持ちいいくらいの強さで優しく筋肉をほぐしてください。
プロによるマッサージが一番ですが、自宅で行う場合はフォームローラーやスティック状のローラーを活用すると手軽です。
あまりにも痛い時はやめましょう。
水分補給
筋肉痛の間、筋肉内では血流が活発になり、筋たんぱくの合成・分解や,乳酸など老廃物の除去が活発に行われます。
血流を滞らせないためにも、1日1.5〜2リットルを目安に、自分に必要な水分量を意識的に摂りましょう。
1日に必要な水分量:体重 × 30ml
例)体重60kgの方 60×30ml=1.8Lの水分を摂りましょう。

冷やす・温める
筋肉を冷やして温めると、血流が促進されて老廃物の除去に有効です。
冷やした部位の血管は収縮するため、血流が一時的に阻害されますが、温めることで血管が拡張し、血流が促進されて老廃物の除去も活発になります。
痛みがつらい時は湿布や冷却スプレー、温感クリームを活用してみましょう。
もし近くの温泉や銭湯などに水風呂があれば、水風呂とサウナ・入浴を繰り返しましょう。
これは交代浴と呼ばれる方法で、疲労の回復に効果的です。汗をたくさんかくので、多めに水分補給をしてください。
入浴
筋肉痛を和らげるためには、入浴してカラダを温めるだけでも、血流が活発になり老廃物の除去に有効です。
アイシングをしてから入浴することで、先ほど解説した交代浴に近い効果が得られるでしょう。
睡眠
筋肉を回復させるためには、睡眠が重要です。最低でも7時間、できれば8時間の睡眠をとりましょう。
日々ハードなトレーニングを積むアスリートの中には、1日10時間以上の睡眠をとる人もいます。
ハードにカラダを鍛えれば鍛えるほど、回復のために睡眠時間が多く必要になります。
筋肉痛とうまく付き合って、筋トレの効果を高めよう

筋トレで筋肉痛があればあるほど効果があるというわけではありません。しかし、筋肉痛は十分に追い込めたことの1つの目安になります。しかし、筋肉痛が強すぎて3日経っても治らない場合、オーバーワークの可能性があるので注意が必要です。ひどい筋肉痛の時に筋トレは休んだほうが良いでしょう。
筋肉痛が多少あっても、筋肉痛のない部位であれば筋トレしても大丈夫です。痛みのある部分の回復を促すことを心がけながら取り組みましょう。
筋肉痛の予防・回復法は以下のとおりです。
- 栄養
- ストレッチ
- マッサージ
- 水分補給
- 冷やす→温める
- 入浴
- 睡眠
これらをしっかり行って筋肉痛の予防と回復を促進し、筋トレの効率を高めてください。
筋トレによる筋肉痛と回復のスケジュールを最適化し、筋トレ効率を良くするためには1週間単位で筋トレのスケジュールをと良いでしょう。
いつも筋肉痛が1週間治らない、筋肉痛にならないのが物足りない、などの悩みがある方にはパーソナル・トレーニングがおすすめです。筋肉痛のなりやすさは個人差も大きいので、適切な負荷をかけられているのか否かは、自分ではわかりにくいですよね。
パーソナル・トレーニングなら、プロのトレーナーによってあなたに最適な負荷を設定でき、筋肉痛の疑問にも答えてくれます。
